【読む】学術会議、任命拒否問題  品田悦一さんが活躍

 前もってメールもらっていたのだけど、紹介した『万葉ポピュリズムを斬る』の著者・品田悦一さんが上代文学会代表理事として、イタリア学会会長・藤田道夫さんと対談した記録(たぶん一部)が朝日新聞(11月24日)に載ってる。品田さんによれば、100以上の学会が政府に対して抗議文を出したけど、この2つの学会の抗議文がとりわけ良かったので選ばれたとのこと。写真も載っていて、高校10年下の後輩が白いアゴヒゲを伸ばしているので笑ってしまったけど、

《権力に弱い学者の心性は根絶やしになっていない。それが社会の理解のなさにもつながっている。》

 という発言はエッジが利いていて頼もしいネ。その他にも2人から有意義な発言が聴けるので、一読をススメます。

【見る】「ヒューマニエンス」の「自由の意志」特集は失敗  番組「アインシュタイン」のアスペルガー特集

 NHKBSプレミアムで予告編を見かけてとても期待していたけれど、見終ろうとしている今の印象は全然スッキリしない。いろいろなものを混同したまま進行していくので、「?」を抱いたまま納得できないまま終ろうとしている。人間が「意識」よりも遥かに大きく「無意識」に左右されているということは、ユングの概説書(河合隼雄)を読んで実感していたところだけど、番組では「無意識」と「神経」(特に自立神経)とを混同しているとしか思えない。脳科学者(ザンネンながら中野信子さんではなかった)の男がアメリカ(?)の心裡実験を誤解しているための混同かもしれないけど、信頼するいとうせいこう(「想像ラジオ」の作者)までもが小説の人物が勝手に動き出すのを、作者の無意識が作動していると発言してしまっている(登場人物が「意志」を持つかのように動き出す、というのが正確だろう)。(バカとも思えない)脳科学者が「ゾーン」に入るのだとまとめたけれど、登場人物が勝手に動き出すのと作家の「無意識」が現れるのとは位相が異なるとだろう。

 ともあれ「無意識」と「神経」との差異をキチンと説明しないまま、同じように「意識」に左右されないものとして括(くく)ってしまうので、論点が不明確の度を増すばかりで説得されない。これをクリアしない限り、番組は成立しないと思ったネ。

 

 「ヒューマニエンス」のこれまでの特集はとても面白くためになるので、再放送まで見ることがあって最初の「性」を取り上げた再放送を見た時は、人間のシリアル・モノガミー(一夫一妻制)は4年も持たないという調査結果がとても説得的だったネ。モンロー主演の有名な映画「七年目の浮気」などを例に、7年が限度という考え方もあるけれど、4年説は分母の大きい統計に基づいているので納得できる。この点では「先進国」のフランスでは、8割以上(?)が離婚した後それぞれ子連れで再婚するのが一般化しているので、遠い(?)将来では日本でもそうなって行くだろうという想定がしやすいというもの。そういう時代に生まれたかった、というわけでもないけどネ。

 

 これを書きながら、続く番組「フランケンシュタイン」を見ているのだけど、症候群の名前にもなっている医師ハンス・アスペルガーは当初特異な能力を持つ子供たちの可能性に期待していたそうだけれど、ナチスの世になるとナチズムの優性保護思想による犯罪に手を貸して、アスペルガー症候群の子供たちを虐殺したとのこと。ニュルンベルク裁判では、アスペルガーを含むナチスの犯罪に協力した医師たちは罪を問われること無かったとのことで、戦後アスペルガー自身もその罪に向かい合うことなく(犯罪に関わらなかったと主張して)長寿をまっとうしたという。アウシュビッツ収容所でユダヤ人の大量虐殺に関わった有名なアイヒマンが、逃げ回った末に逮捕されて死刑になったのが対照的に想起されるネ。

 戦後のアスペルガーは、過去の己の研究についてはいっさい語らなかったという。番組には3名のゲストが出演していて、その1人がハンス・アスペルガーは時代に振り回されたので、可哀そうな面もあると言っていたけれど、ボクはそうは思えなかったナ。アイヒマンを許容してしまう考え方は、たった1人でも拒絶し続けなければならないと思うネ。どんな時代にしろ、《同調圧力》には巻き込まれないようにしないとネ。

【読む】松波太郎さんのエッセイ  学大の卒業生が漫画を提供

 タローさんが明かしてくれたのだけど、エッセイにはスズキロクという漫画家(?)が「のん記出張版~豊泉堂で初めてのハリ~」という体験記を漫画に描いている。ハリ治療は誰しも初めては怖いものだろうけど、その気持がとても良く描かれている。絵が上手いのでホンモノの漫画家になっているのかもしれないけど、この人は何とペンネームが実名を想起させる千田研究室の院生だった女性とのこと。ボクだけでなく、よく知っている仲間もいることだろう。吉岡クンは昔、彼女に寿司をゴチソーしてきたと報告していたネ。

 彼女が短歌に強い関心を抱いていることは本人から聞いたことあるけど、まさか漫画も描けるとはネ! ここでは許可が得られてないので実名を明かすことができないけど、メールとかでは知らせることはかまわないだろネ。

 それにしてもハリに興味がある人は、これを読むと少しは安心して治療を受けることができそうだヨ。

【読む】『太宰・安吾に檀・三島  シドクⅡ』(鼎書房)の三島論  三島事件の意味

 このところやたらと三島の特集めいたものが目につくと思ったら、今日が50年前の三島事件の日だったのだネ。事件について勝手なことを言うヤカラが多い中で、島田雅彦平野啓一郎の発言は真っ当で聴くに値する。今日のニュース番組でも、「未だに事件の意味が分からない」とアナウンサーが言っていたけど、正直なところだろうネ。『シドクⅡ』に収録した「金閣寺」論は、事件後1・2年後にやっとイチロー少年(学部生)が自分なりに事件の意味を見出した論なので、未読の人に一読をおススメしたい。

 論にも書いたとおり、表面だけを見ていれば40歳過ぎのオトナがやることではないのは明らかながら、三島の切実な思いに共振した若き日のイチロー君の熱を味わってもらいたいネ。イチローは半世紀前から熱かったのだ!

【ゼミ部】乱歩「鏡地獄」論  中川成美さんの論

 発表者のクリマン君が、参考文献を送ってくれた。

 中川成美さんの「視覚性のなかの文学ーー江戸川乱歩「鏡地獄」の世界」という、『日本文学』(2011年4月)に掲載されたもの。

 まだ読み始めたばかりだけど、いかにも中川さんらしく冒頭からベルクソンバフチンメルロ=ポンティといった有名どころから、美術関係(?)のフレッチャーやクレーリーの著書からの引用が続いて、むやみとハードルを上げて近寄りがたい感じ。掲載誌の特徴でもあるのだけれど、やたらと理論先行で理論書の読書報告の相貌を示しがちだけど、問題はテクスト分析につながっているかだから、論文によって価値の有無の差が大きく出ることになる。理論の断片とテクストの断片とのパッチワークのような愚論も見かけることになるわけだ。

 中川さんは大変な実力者だから、諸理論を十分に理解しているのは間違いないだろうけど、それにしてはいきなりさまざまな理論書からの引用が羅列されるので、これ等がテクスト分析にどう援用されるのか期待と不安が交るネ。理論偏向でテクスト分析の能力が欠落している研究者も少なくないからネ、中川さんはダイジョブだろうけど。

 要望があればメール添付で送るけど、理論書の引用はスルーしてテクスト分析だけを読んでもいいだろネ。

【読む】古閑章・編著『新薩摩学 15』(南方新社)

 梶井基次郎の研究者というイメージの古閑(こが)さんが、(鹿児島純心女子大学)退職記念号を出版したので紹介したい。

 目次を見て驚いたのは、寄稿している研究者がスゴイのだネ。大野祐治・押野武志山本亮介といった面々は論文で実力十分なのは周知だし、論文は読んだことないけど松本常彦・横手一彦という名前は知られているものだ。まさか古閑さんの教え子の世代ではないので「?」という感じだったけど、「はじめに」に《二年間、東京の駒場で仕事を共にした優秀な同僚と、かつて所属していた学会等で交際のあった研究者》と説明されていたので納得した。学会の方は不明だけど、駒場の仕事とあれば伝わるので(ここでも明示できない内密のもの)これ等の人々が論文を寄せているのが分かる。

 ともあれ24本の論文が収録されていて2500円+税は安い、おススメです。

【癒す・治す】アトピー 

 紹介したタローさんの本に、アトピーにも対応しているとあったので、まさか鍼灸アトピーが? と思って質(ただ)したら以下のような説明としてくれたヨ。タローさんが信頼できる鍼灸医だということが伝わってくると思うので、コピペしておくヨ。アトピーに限らず、身に(というより心身に、と言えそうだネ)覚えのある人は、タローさんの所に行くとイイよ。浦和の豊泉堂を検索すれば、詳細が分かります。

 

アトピーに関しては鍼で良くなる人も多いですが、個人個人でかなりばらつきがありますね。かかる時間や回数も人それぞれですし。
症状の程度や、先天か後天か等でも変わってきますね。
皮膚症状のみならず、アトピーの人は他に症状を抱えているケースが多いので(喘息や易疲労、胃腸症状、鬱、全身の強張り…)、
そちらの症状にもきちんとアプローチして改善していくことが大切かと。
症状が緩和すれば心理的なストレスも減るので、かゆみも減ってくるかと。
 
とくにアトピーは養生も大事ですので、かゆみを増悪させる因子(甘い物とか、ダニとか、満員電車とか…)を自覚してもらい、少しずつ減らしてもらうことも必要ですね。
一気に減らすのもまたストレスになって、よけい引っかいたりするので…
 
松波