2016-01-02から1日間の記事一覧

鈴木登美『語られた自己』  星野紘一郎

先般のヒグラシゼミで発表者のマンジュが参考文献として真っ先に『語られた自己』を上げていたので、まずはその点を評価したいと思った。 葛西善蔵など私小説を論じるなら必需品なので、知っていて安心した。 2000年に出た本でけっこう話題になっていた…

抜き刷り等の感想(新年の豊富な抱負?)

在職中は退職すれば時間的余裕が無限にあるように考えていたけれど、トンデモナイことだった。 演習や自主ゼミのレジュメやレポートも懐かしく読み返すことなども想定していたけれど、ありえないことと痛感(もっとボケてきたらあり得るのかな?)。 これか…

陰画新年

謹賀新年のハガキはやり取りが続いている人には出したので、その「陰画」を。(というほどのモノでもないか) 年末の29・30日に釣り部で館山に行ったのは報告したばかり。 呑み部長や今や常連となったタミさんを始め、皆さんの差し入れてくれた美酒に酔…

その4

「班女」菊が次郎に向かって「待つといふことはつらいことでございますよ。」と語るので、その連想だけで次に「班女」(昭30・1)を取り上げたい。この作品を喜劇として読む斬新な論にも出会ったものの、⑧「邯鄲」と同列の喜劇とは思えない。もちろん一人の男…

その3

「熊野」 「熊野」(昭34・4)における〈閉塞〉対〈開放〉の対照は捉えにくいかもしれない。 《私が一旦かうと決めたことは、変へるわけには行かんのだ。》 《俺に大切なのは今といふ時間、今日といふこの日だよ。その点では遺憾ながら、人のいのちも花のい…

近代能楽集」その2

@ 後半一気に載せようと思ったら上手く貼りつけられないので、中半分のみです。 「卒塔婆小町」 《さよですか。今度私の一門で舞踊劇をいたします。(紙を配る)これをどうぞ。……奥さんは百枚引受けて下さるといふお話でした。》(「綾の鼓」) 右の「百」…