読む

『式子内親王』  「車輪の下」(ヘッセ)

当初は《読む》コーナーで自らの読書報告を記すつもりだったけれど、そんなノンキなヒマなど無かったネ。 法政大院の授業が1月9日が最終で、この日の作品がヒッキ―先生が学大の学会で講演した佐藤春夫「美しき町」だったのであまり準備が要らなかったとい…

目取真俊(めどるま・しゅん)を読め!

以前、琉球大学の新城郁夫さんの研究書を紹介した時に言及したと思うけど、沖縄の作家として(というより現代日本の作家としても)群を抜いて面白いと思う目取真俊を法政の院生に強く勧めたら、その中の1人の関口クンが以下の書籍情報を伝えてくれた。 一時…

漱石  中島国彦

昨日に続いて古新聞(気になって保存しておいた切り抜き)から。 10月12日の朝日にチョッとした漱石特集が掲載されていた。 奥泉光の講演が紹介されていたけれど、漱石文学の主題が「人と交われぬ孤独」だと説いたとのことだけれど、全然新味がないのは…

俳句

短歌に反響があったので俳句も(気になって手許に置いてあった新聞から)。 10月28日の朝日俳壇のコラムで、青木亮人という大学教員が「小さな驚き」という題で、最近の句集から4つの俳句を紹介していた。 その中でとりわけ印象に残った作品。 桐一葉い…

不要本の引き取り手が判明

山口昌男編著『説き語り論』とかいう本は記憶どおりクリマン君に上げる約束だったので安心したし、20日のゼミの際に渡せることになった。 「彼岸先生」の上げる相手も判明、一件落着だネ、まだそれほどボケちゃいないゼ。 お騒がせしました。

むのたけじ  「たいまつ」

朝日新聞の夕刊で「むのたけじをたどって」という連載が続いている。 とはいえ若い人たちには馴染みのない名前だろうけれど、戦争中に朝日が戦争協力的な記事を載せていたことに憤慨・反省して、敗戦と共に朝日新聞社を辞したという反骨の伝説を持つ人。 実…

島田雅彦「彼岸先生」の引き取り手は誰?

漱石の「こころ」を意識したという「彼岸先生」がダブっていたので、文庫の方をタミルさんに上げると約束したと思っていたら、人違いだと言われて困っている。 では誰に上げる約束をしたのだろう? 女性だった記憶は残っているのだけれど・・・ 該当する人は…

千田洋幸「ゼロ年代批評とは何だったのか」  宇野常寛  東浩紀

『文学研究から現代日本の批評を考える』の前半分は、編者である西田谷洋や山田夏樹両氏が「ガンダム」を論じているのを始めとして漫画やアニメの論ばかりなので、どれも読んだことのないボクには入って行けない。 後半は文学論になるのだけれど、千田洋幸「…

山田夏樹『石ノ森章太郎論』  宇野常寛

テレビ番組のお蔭で山田夏樹『石ノ森章太郎論』が読める条件が整った(安易すぎるけど)ということは記した記憶がある。 その後、本書を読み始めたことは書いたかな?(記憶がボンヤリしてる) 番組を見ていて一番興味を覚えた第3章「サイボーグ009」論…

阪本順司「団地」  佐藤裕子『漱石解読』

誰が評価していたのか阪本順司という監督名に何だか覚えがあるので、たまたま「団地」という映画を見始めたらメチャ面白くて笑えるので、メールチェックが終ったままブログを書くことにした。 藤山直美・岸部一徳・石橋蓮司(妻だった緑魔子はどうしてるのか…

川村二郎

先般、国分寺の古書店・七七舎で川村二郎の第二評論集『幻視と変奏』を100円でゲットした。 実力派だとは分かっていたけれど、ドイツ文学者のせいかあまり読まずにきた評論家、目次に太宰論そして特に井伏論が並んでいたので是非読みたいと思った。 その…

アマゾンのススメ

アマゾンで買い物をするのは、2年前だったか2回ほど上手く行ったけど、その後は失敗続きで代りにユウ君に買っておいてもらう方式をとっている。 ユウ君にPCのチェックがらみでグーグルに換えてもらってからググルことが多くなり、欲しいモノがあるとアマゾ…

谷川俊太郎の実生活

作家の実生活にはあまり興味がないけれど、ほとんど知られてない(?)谷川俊太郎の実録が朝日新聞の「語る――人生の贈りもの」というシリーズで明け透けに語られているので、毎日読むのが楽しみなくらい(今日が第12回でまだ続く連載)。 在職中に俊太郎は…

石ノ森章太郎  山田夏樹

Eテレの「100分de名著」の石ノ森章太郎特集を見ているところ。 たった今は「サイボーグ009」について夏目房之介他5名が議論している、けっこう重いテーマなんだと教えられている。 でも読んでみようという元気は出ない。 石ノ森は有名だけどいっさい…

ジュネット理論  岩野泡鳴の描写論

法政大の熱心な留学生院生(中国人)の1人から以下の質問を受けたので、久しぶりに泡鳴の論を読み直して応答したやり取りが以下のもの。 理論に馴染まないボクがジュネットについて説明するのも相応しくないけれど、間違いを伝えたら申し訳ないので理解の行…

3冊目?  藤原耕作  沢村が打たれて言うこと無し! 桑田真澄の大罪

とにかく退職して4年半が経つというのに、己れの安吾研究はほとんど進まない。 かといって今後数年すれば何とかケリを付けることができるとも思えない。 実は数年前から3冊目の表題は決めていて、『太宰・安吾に檀一雄』というもので宇都宮大学で漱石の話…

3冊目の出版?

定年退職の際にも、誰しもがやるような催しは避ける気持が強かったので、肩肘張った「最終講演」ではないおしゃべりの「最終口演」を企図した次第、体調不良で思うように運ばなかったのはザンネンだったけど(宇都宮大学では体調良好でまずまず)。 もう1つ…

地震と文学  吉田恵理  千葉俊二  磯田道史  石井正己

申し訳ないながらあまり学会誌を読んでいるヒマがないのだけれど、『日本近代文学』の最新号(第98集)にエリちゃん(吉田恵理)の「辺見庸『眼の海』−−わたしの死者たちに」という論が載っていたので、間もなく読み終るところ。 ヒマ無しの身分ながら読ん…

カミュ「ペスト」  「100分 de 名著」

だいたい観ている番組だけど(月曜夜と水曜早朝と昼時)、今回(とはいえ半分終わっているけど)はアルベール・カミュなのでおススメする次第。 カミュといえば「異邦人」で、在職中でも時々読んだという学生がいて嬉しかったものだけど、「ペスト」を始め「…

川端康成「禽獣」論  新城郁夫

「禽獣」は正真正銘の傑作だと思うけど、素晴らしい論文もいくつかある。 先般の授業で「禽獣」を取り上げた時には見つからずに読めなかったのだけれど、数日前に別の本を探していたら発見したのでサーッと目を通したら、やはりスゴイ。 『立教日本文学』第…

慶応大学の付属高校  野坂昭如の文体  「火垂るの墓」

マエタカ(前橋高校)の同学年にいた「天才」・金井広秋について記した際に、慶応の付属校である三田高校に在職していた可能性が高いと言ってしまったけれど、マチルダさんから慶応大には志木の他には日吉校があるけれど、三田高校は女子校しかない旨を教え…

丸尾実子の漱石注釈

山本芳明の漱石論を紹介した翌日に、丸尾(坂東)実子ほかの『漱石文学全注釈7「三四郎」』(若草書房)を落掌した。 先日、笠間書院に笠間で出している本を購入するために訪れたばかりなのだけれど、同じビルにあった若草書房が跡形も無くなっていて淋しい…

松本和也『日中戦争開戦後の文学場』・『現代女性作家の方法』  教育者としての石崎等

ガチャ(カツヤの津軽方言、正確には太宰「思ひ出」方言)がまたまた近著を贈ってくれたので、優先順位を無視してつい読んでしまった。 最近「終活」の一環として溜まった書簡を整理しているのは記したけど、ガチャの先輩であるイクオちゃん(新城郁夫)の手…

七七舎の安売り古書

血圧とぜん息の薬をもらいに国分寺の病院に行く度に、七七舎(北口から真っすぐに150mほど行った左側)に寄っている。 価値ある本が100円で売られていることがよくあるからだ。 殊に昨日は5冊も買ってしまったけど、気になる本はもっとあった。 『三…

やまなし文学賞  大橋毅彦  石原千秋

「やまなし文学賞」と言っても知ってる人は少ないだろう、小説部門もあるものの過去25回の受賞者が全国区の作家になっていないように、しょせん地方のショーでしかない証拠だから。 しかし珍しく研究・評論部門が設けられており、とくに研究に照明が当てら…

『繍』第30号  良遅漏

ありがたい事にたくさんの著書や研究誌を頂戴しているけれど、なかなか拝読する余裕が持てない。 生来、読み飛ばすことができずに一語一語を丁寧にする癖(へき)があるので、読むスピードは他人(ひと)より一段と遅い。 それが他人が読み落としがちな《細…

金子兜太の死と詩(句)  藺草慶子  大高翔

金子兜太がいよいよ死を迎えた、98歳という。 知らない人のために註しておけば、昭和を代表する俳人であり、個人的に好きな句の作者で句集を持っているのは、兜太のほかは村上亀城と高柳重信(師三好行雄の俳句の師匠と聞く)の3冊だけだ。 教科書にも載…

『すばる』3月号  井伏鱒二特集  野崎歓  堀江敏幸  大澤真幸の三島由紀夫論  若松英輔

『すばる』と言えば、ボク等ファミリーとしては数年前に新人賞を受賞した金城孝祐クンの次作を待ち続けているのだけれど、なかなか実現しないのは『すばる』編集者のセンスが金城クンに授賞した選考委員に及ばないのが原因らしい(受賞と授賞の使い分けに注…

『宇大論究』第28号  津久井秀一の村上春樹論

定年退職時にその記念号『学大国語国文学』第46号を多数購入して知人にお贈りしたものだが、先般ブログに公開した「漱石の話法について」が掲載していただいた『宇大論究』も少なからず購入して同じくお贈りした。 送る時に一言付した場合があるのは、同号…

「漱石の話法について」  『宇大国語論究』第28号(2017・12)

@ 副題のとおりで、現場の先生方に役立ててもらいたいと考え、まとめたものものです。 刊行から時が経っているので、ここに公表することにしました。 前書きに当たる部分に記したとおりで、桐原書店の国語教科書のコラムに書いたものや、宇都宮大学の国語教…