読む

富田涼介  矢野利裕  佐藤公一等の小林秀雄論  石川巧『幻の雑誌が語る戦争』

以前ヒグラシゼミで旦敬介「アフリカの愛人」について発表してくれたトミー(富田涼介)が、なんと『すばる』の批評募集で佳作に入選したと聞いたので市内の増田書店へ立ち読みに行った。 当選作ではないので本文は掲載されていないけれど、選考委員が座談会…

昭和文学会、その3  辺見庸  開高健  大江健三郎  吉本隆明

昨日(13日)の法政大院の授業感想どころか、先週のもまだ記してないことに気付いて猛省しています。 のみならずヒグラシの呑み部の記録は記したものの、ゼミの感想もまだだったのでボケを改めて自覚したところ。 にも拘らず、先日長い学会感想にも飽き足…

昭和文学会  仲井真建一  辺見庸「1★9★3★7」  竹田志保の近著  庄司薫の4部作

久しぶりという印象で参加したら、少しだけ年下の研究者の面々に会えて嬉しかったけれど、気付いたらボクより年長の方が見当たらなかったのは寂しかったナ、ホント。 それでも参加していた老若男女から「元気ですネ」と言われたのは、自覚している通りなので…

北斎  「応為担担録」  山本昌代

このところ長く北斎ブームが続いているのは嬉しいことだ。 今も来年1月まで「北斎とジャポニスム」展を国立西洋美術館でやっている(個人的には敢えて行くほどの魅力は感じないけど)。 北斎のみならず娘の応為にもスポットが当てられ、父の北斎よりも見事…

古山高麗雄  「壇蜜BAR オトナの密会#1」

芥川賞作家ながら知られていない作家の受賞作「プレオー8の夜明け」。 1970年受賞当時読んだのだけれど、捕虜生活を安岡章太郎風なユーモアで描いた作品という程度の記憶しかなかった。 再読の印象はこんなに面白い作品だったのか、という再発見ができ…

休止のお詫び  仲間から俳人現る!  大堀剛  「プレバト!」の夏木先生  江戸屋子猫

ご無沙汰です。 じつはパソコンのディスプレイ(画面)がケーブルとの接続が悪くて、普通の状態では使えなくなっています。 メールが何とかして返信できているのは、ディスプレイを立てると接触がよくなって使用可能になるので、読みにくい・文字を打ちにく…

『漱石がわかる。』  「ゴールドベルク変奏曲」  シトコベツキ

昨夜は予想どおり仕事にならないまま、仕事部屋の整理をしてから午前3時過ぎに蒲団に入ったのだけれど、あまり眠った自覚のないままに目覚めたので、そのまま起き上がったら頭がスッキリしているようなので7時頃から仕事に取り掛かった。 昔、丸尾実子(学…

岩波の手抜きでもなかった?

「門」において「自然」という言葉が3例あるのに、岩波の索引には1例しか上げられてないと記したら、ヒグラシゼミの常連であるナオさんから13例もあることを知らされて腰が抜ける思い。 「道草」に至っては38例だとのことで何をか言わんや、の落ち込み…

岩波の手抜き作業

宇都宮大学で3月に発表した内容をまとめたのだけれど、漱石だけに気になる言葉がいくつかあって、その中でも《自然》が「門」と「道草」における使用例をチェックしようと思い、自家にある菊版の全集の索引で調べようとしたら、索引の巻はあっても作品の巻…

カズオ・イシグロ  「ニュースで英会話」  核兵器禁止条約  鴻巣友季子  小野正嗣

(昨夜の記事) 今見ている釣り番組ではノドグロ(赤ムツ)がターゲットなんだけど、書くのはイシグロの話題ネ。 前回イシグロについて書いてからも、少なからぬ記事が出ている中で、先週はEテレの「ニュースで英会話」(木曜夜11時25分)でも取り上げ…

カズオ・イシグロの受賞に納得  中江有里  ハルキストの害悪

気晴らしにテレビを点けると小池百合子や安倍晋三のツラや声を強いられて気分が落ち込みそうなところに、実に清新な話題が届いて気が晴れた。 受賞したのがハルキじゃなくてイシグロだというのも、さらに気持イイ感じ。 (でも既に受賞していたのじゃなかっ…

ハンナ・アーレント

「100分で名著」(月曜午後10時25分〜)は今日(月曜)からアーレントの「全体主義の起源」が始まった。 今日は録画しながら「歴史鑑定」で井伊直政を見ていたのでCMの時だけ覗いただけだけど、例によって反ユダヤ(主義)に対する根源的な批判の鋭…

佐藤公一の小林秀雄論

またまた佐藤公一氏から『小林秀雄の超戦争』なるキワモノ本が贈られて脱力・苦笑するばかり。 小林秀雄について画期的な研究(評論だという評価もある)を残したイチローなので、佐藤氏がおてかずながら小林論を出す度に贈ってくれるので無碍(むげ)には扱…

ルネ・ジラール  作田啓一『ドストエフスキーの世界』補遺  大熊昭信

先日紹介した作田啓一のドスト論で気になったことを付し忘れたので・・・ 「未成年」論に限らずジラールの理論が援用されていたので意外な思いがした。 ジラールが流行った時期の痕跡だろうと思っていたら、手許の『地下室の批評家』の「訳者あとがき」には…

芥川賞・直木賞

8月14日の朝日新聞の「文化・文芸」欄は「気になる境界」というテーマの下、連載第1回は文学のジャンルで「芥川賞/直木賞」の問題を取り上げていて面白い。 古くて新しい問題なのだけれど、意外にたくさんの「境界」を越境・往還した作家がいたので驚い…

作田啓一『ドストエフスキーの世界』  バフチン『ドストエフスキーの詩学』

ドストエフスキー論がけっこう沢山集めたけれど、なかなか読む余裕ができない。 読みそうもない評伝などドストに詳しいツクホーシに上げたりしている。 作田氏のものは『恥の文化考』『深層社会の点描』『個人主義の運命』などを持っていて、全部読みたいと…

『論潮』第十号  ジッドと志賀直哉

いつも送っていただいている早稲田の『繍』など、落掌して少しでも拝読してから紹介しようなどと考えているうちに、数ヶ月も放置したままの研究誌が仕事机の横に溜まっているので「心が痛い」(故リリィの歌)。 今年は法政大院の授業を持ったせいもあって、…

千田洋幸「或る女」論(その2)

千田さんの話を続けるという意味での「(その2)」というより、千田さんには他にも「或る女」論があることを付しておきたいということがメイン。 今日(9日)例によって国分寺の内科に行って血圧と喘息の薬をもらった後、いつものように学大に寄って寄贈書…

千田洋幸の「或る女」論

法政大の留学生院生が「或る女」論で修論を書くというので、多忙な専任教員のお手伝いで助言することになった。 「カインの末裔」はじめとする有島の短篇は大好きだけど、「或る女」は入りにくくて通読できたためしがない(その手の小説は「夜明け前」を筆頭…

ひつじ書房(続き)  亀井秀雄  山田夏樹  千田洋幸  バフチン  矢口貴大  望月哲男

『文学研究から現代日本の批評を考える』には贈呈してくれた柳瀬善治・山田夏樹両氏以外にも優れた筆者がたくさん論考を寄せていて、名前だけ見ているとワクワクするものの、残念ながら論文名の半分はサブカルチャーの話題なので取っ付きにくい。 冒頭の中村…

ひつじ書房  石川巧  柳瀬善治  いとうせいこう

ひつじ書房刊行の松本和也編『テクスト分析入門』については以前紹介しつつ、おススメした通りで学生諸君にはとても役立つ本。 比較的最近またひつじ書房出版の石川巧他編『〈ヤミ市〉文化論』(2800円)を石川巧氏と山田夏樹・渡部裕太両君の連名で贈っ…

篠崎美生子女史の龍之介論集成

土曜の学会会場で鏡花の資料をお送りしたばかりのケイコ先生(鈴木啓子さん)に出会い、そんなことなら手渡したのに(送る手間が省けたのに)とビミョーな気持だった(ケイコ先生は学会無視の人かと思っていたので)。 学会日の直前に落掌したミオコ先生(篠…

大井田義彰(編)『教師失格 夏目漱石教育論集』

元同僚の大井田さんから漱石のエッセイ集を贈られたので紹介したい。 同僚だったからというだけでなく、また東京学芸大学出版会(1500円)から刊行されているからというだけでもない。 最近漱石について話をしたばかりだけれど、これは漱石に関する本と…

川上勉『高見順 昭和の時代の精神』(萌書房)  磯田通史『武士の家計簿』

14日に学大に行った帰りに、いつもどおり国分寺の七七舎(しちしちしゃ)という古書店に寄った。 狭い店の中に興味深い本が沢山並んでいる点では、今は無き国立の谷川書店と似ている。 充実している店先の100円コーナーで『岩波講座現代社会学』の4と…

パーヴォ・ヤルヴィのベートーベン演奏  ノリントンのベートーベン演奏  ロシア・フォルマリズム

音楽ネタの記事が無いので期待外れの気持でいる仲間もいると思うので・・・ もちろん読み書きしている間はずっと(クラシック中心の)音楽が鳴らしているので、自家にいるかぎり聴かない日は無い。 最近は雨模様なのでオープン・テープは湿気を避けて使わな…

ハルキ・その2  「騎士団長殺し」  一人称と三人称  漱石文学

新聞で今月の文芸誌の宣伝欄を見たら、4誌全部に「騎士団長殺し」についての論が掲載されている。 それが無いと売れないという判断からどの雑誌も載せざるをえないのだろうけど、こういう「同調圧力」はたまらなくイヤなもンだ。 国語教科書でも、ほぼ全部…

漱石シンポジウム  今度は「口演」ではなく講演

3月11日の宇都宮大学国語教育学会主催の漱石シンポジウムについての報告を延ばしたままになっている。 主客のやらねばならぬ用件が多い中、「話せば長くなる」ので先送りしていた次第(著書や雑誌を落掌してもブログで紹介するヒマもないのでお待ちやれ)…

辺見庸  「1937」

NHK・Eテレの番組「こころの時代」というのは、内容に興味があれば観るのだけれど、前もってその内容が分からないので困る。 ずいぶん前のことだけど、旧約聖書の解説を6回(?)連続したことがあり、これは面白かった(ビデオに録画)。 先週土曜の午…

村上春樹「騎士団長殺し」  小野正嗣

ハルキ作品は5年経ってホトボリが冷めてから読むことにしているので(と言いながらも「色彩をもたない〜」は105円で買ったまままだ読んでない)、最新作はしばらくの間手にすることもない。 発売と同時に読みたがる同調圧力には嫌悪感のみ、バカじゃない…

小池(百合子)ファーストの醜悪さ  小泉純一郎はエライ!  「上田ニッポンの過去問題」 くりいむしちゅう  おぎやはぎ(の小木)  ロザン宇治原

政治評論家の竜崎さんという人は鋭いのか鈍いのかハッキリしないと感じていたけれど、先日の「上田ニッポンの過去問題」(水曜TBS)では切れ味を見せていたので感心した。 小池百合子が人まね乞食だということは公然たる事実だけれど、中でも小泉純一郎のマネ…