ジュネット  第三項排除論  志賀直哉「剃刀」論

高橋敏夫の「祖母のために」論はシンポジウムのための発表なので、自著の『文学の帝国』とかいう方向にまとめようとするところはワケが分からないのが当然なので、要約からは無視して構わない。
ただし文学史的な叙述は機会を捉えて「明治40年前後」「1910年前後」は確認・解説した。
その他ファム・ファタム、「オリエンタリズム」、サイードフーコーは知っておいて欲しい。
宮越勉は志賀研究者だが、その志賀論の構図を元に「祖母のために」を新たに位置づけた論。
<異人>論は赤坂憲雄氏を始めとする多くの論があるが、民俗論や文化人類学の観点からのこの種の切り口も知らないと困る。
質問に応える形で、異人とトリックスターとの異同も説明したので、覚えておいて欲しい。
「白っ児」がアルビノであり、差別意識の表れであることも説明したが、葬儀屋を<異人>として「私」の家という<内部>を動揺させ・活性化させる役割を果たしたと読むのは面白い。
高橋論は今村仁司の<第三項排除>理論を援用して、「私」が対立していた父と結託して<第三項>としての葬儀屋を「白っ児」と差別的に呼びつつ排除して行くと読む。
<第三項排除>理論の詳細と論のまとめは次回にして、次は紅野謙介志賀直哉「剃刀」論。
論のプリントに最初のページが欠けているのは、「網走まで」論の最後のページにあるから。
途中から参加して「網走まで」論が無いヒトは取りにくること。
高橋論に直接関係は無いが、ジュネットの<物語行為・物語内容・物語言説>を説明したが、簡単な説明書のコピーも用意した。