ヒグラシゼミ(6・21)の感想  佐藤錦(桜桃)その他ゴチソーが沢山  7月は13日(日曜)に町田康の作品

エントリーする発表者がなかなか現れなかったので、急遽立教博士の椋棒哲也クンに発表してもらいました。
本来は未発表の論を期待しているのですが、聞いていたら博士論文の一部だったようでした。
でも博論とは異なった考えが生じたので、そこからアプローチする発表にしたいとは言っていました。
さて、黒島伝治の「二銭銅貨」と「豚群」の2作品ということで40年ぶりに(?)再読した感じですが、あまりに濃密な筆力で驚きました。
院生の頃の初読の際にも感銘を受けたのを覚えていますが、これほどのリアリティで迫ってきた記憶はありませんでした。
(予告の際に記した岩波文庫は絶版になったそうで、残念です。)

椋棒クンの発表は、(中島敦研究に励んでいた修士課程時代の粗い読みとは打って変わって)テクストの細部を立ち上げた興味深いもので、これにも驚かされました。
院生の頃には(上級生から立教特有のイジラレ方をしたせいか)自分を失って腰の据わらない研究をしていましたが、今回はシッカリしたテクストの読み込みができていてまるで別人でした。
(椋棒クンは先般の関谷ゼミブログ記事を読んだそうなので敢えて付しますが、院生の頃の中島敦「環礁」の発表ではテクストの気になる一文の解釈を意識的にスルーした読みを提起しようとしていた点で、佐藤泉さんの学会発表と同断でした。)
特に身体性豊かな黒島テクストを、触覚や聴覚という観点から分析して読んでみせたのはツボを捉えていて説得力があり、黒島文学の先行研究には無いであろう面白さで刺激的でした。
そうした評価は私のみならず、聴いていた皆さんの共通した印象だと思いますが、博論発表の際には細部を読もうとした点が不評だったそうです。
審査委員の名は伏せますが、その中の2人はプロ文の研究者ですから思想的なアプローチでない今回の内容を評価できない(理解できない)のも当然で、テクストを読んでない(読めない)証拠ですから彼らの評価など気にする必要は全くないと断言しました。
プロ文の作品をプロ文的に読んでも今さらで面白みはありませんし、黒島文学の豊かさをプロ文一般に引き下げる研究など辞めた方がイイでしょう。
椋棒クンが参加者の好評に自信を取り戻して喜んでくれたので、今回も発表者と聴衆双方にとって非常に有意義なゼミとなりました。
ただ参加者が前回よりも減って貴重な発表を聴き逃した人がいたのは、「量より質」とはいえカワイソーでした。

当初は別のゼミの用意があるのでアフター(呑み部の活動)には参加できないと言っていた椋棒クンが、幸い合流してくれたのは嬉しいことでした。
住居も仕事も栃木県のためゼミ部には出られないと言っていたアマッチ(釣り部のメンバー)が、何と例年通り山形に桜桃狩りに行ったその足で駆けつけてくれたので、自分じゃ買えない佐藤錦を、しかも摘みたてでタップリ食べられたのは「長生きして良かった!」という感動でした(来れなかった人はホントにカワイソー)。
アマッチは先般の釣り部・呑み部(まだブログに記してないか)の時の余りの高級ビール等のみならず、新たに出張の際に買ってきたという高級白ワイン(グロン・クリュ)やサイの目カットの生ハムも差し入れてくれたので、ゼイタク感あふれるアフターでした。
釣り部長のユウ君が(昭和ゼミでは寿司兄貴として知られる)、イチローゼミが毎月やるようになったので毎回寿司でなくてイイと伝えてあったにもかかわらず、今回も寿司を差し入れてくれたのでマコトニ贅沢なアフターとなり、上智大学学部1年生(!)のアッ君が体調のため残れなかったは文字通り可哀想でした。
(川端研究会と重なったために来れなかったヨリコさんも同様。)
日本酒は釣り部の時に評判だった「正雪」と、集いの際に明治ゼミだった桜井クンが差し入れてくれた○○(名忘れ、ゴメン!)ともう1本(チカちゃん差入れ?)の3本を完飲。

さて土曜か日曜かと迷っているヒグラシゼミですが、土曜に授業がある教員職の人のため、一度日曜日にやってみようということになり、7月は13日に決まりました。
(某大学でアカハラにあった○○さんが駆けつけてくれたのは嬉しかったのですが、あいにく7月13日は予定が入っていて来れないと残念がっていましたが、ゴメンナサイ!)
発表者は「群像」新人賞を受賞した矢野クン(この受賞についてもまだブログに記してない)が、お得意の町田康について発表してくれることになっています。
現在作品を検討中で、決まりしだいブログに記します。
お楽しみに!