デ・キリコ展

中学の美術の教科書で見かけたのが最初だと思うけれど、デ・キリコインパクトの強烈さは誰でも忘れられないものだろう。
ボクが最初に観た絵の題は、手許の画集によると「通りの神秘と憂愁」という題なのだけれど、人気の無い(デ・キリコの絵ではお約束)通りを少女(のシルエット)が輪回しをしている姿が左下に描かれているものだけれど、伝わるかな?
この絵自体は来なかったけれど、未亡人が百点近く(?)寄贈したばかりの作品が来るというので行かざるべからず、で行ったしだい。
自画像もあるというので驚いたけれど、実際に観ると誰しも作品との落差にもっとおどろくであろう。
自画像以前に写真を観ると小太りのオッサンで、イメージを裏切って笑いが洩れる。
ともあれあまりヴァラエティの豊かな画家でないという先入観のとおりで、その点では期待を裏切られるだろうから、そのつもりで行くといいと思う。
基本的には「通りの神秘と憂愁」の繰り返しだけれど、自分でも何十年も経てから同じモチーフで自己模倣しているのでガッカリしてしまう。
「ぶらぶら美術館」(以前おススメした美術番組ながら、〈おぎやはぎ〉の小木はバカ丸出しで不愉快)で山田吾郎はウォーホルの手法と結び付けていたけれど、スゴク無理があると感じた。
本人にはそれなりの意図があったようだけれど、何十年も前と同じ絵を彩色鮮明に見せられても感銘は受けないし、好きな画家であるビュッフェ晩年のまるで風呂屋のペンキ絵を見た時のような失望を感じたものだ。
今月の26日までだから、興味のある人は急いだ方がいい。
場所はパナソニック汐留ミュージアムという美術館で、大好きなルオーの常設館でもあり、今回も数点ルオーを観ることができるが大した作品でないからデ・キリコを打ち消すほどのインパクトは無い。
来年はパスキン展をやるというのだから、センスの良い美術館だと思う。
パスキンは札幌の美術館で偶然観て以来、まとめて観たいと思っていたので楽しみ!

ところでボク等はキリコで覚えたけれど、実際はデ・キリコと言わなければならないと知った。
ミドルネームとかいうのかどうか分からないけれど(西洋の名は分からん!)、メルロ・ポンティをポンティとだけ切り離して言うと海外文学研究者からバカにされる類だから気をつけた方がいい。
もっともポンチ絵のような、洋モノの猿マネそのものの研究をしているヤカラは、誰からバカにされても仕方ないけれど。

@ ブーバーもマルティン・ブーバーを呼ばなければならないのかどうか、ご存じの方がいたらご教示下さい。