小山田二郎展はスゲエ! 絶対おススメ!

ご無沙汰で〜す!
熱心な卒論執筆者に釣られて久々に三島を読んでいたら、けっこう考えさせられてイイ時間を持つことができた。
そのうちに「近代能楽集」についての小論を発表するかもしれないくらい。
修論も志賀と谷崎で論文指導を継続中で、楽しい多忙さで充実してます。
23日にヒグラシゼミもあったし、この時期は賀状作りに多くの時間がかかるし、ブログどころではなかったというのがホンネ。

先般NHKのEテレ「日曜美術館」で小山田二郎を観ていたら、スゴク惹かれて行きたくなった。
ずいぶん前にも、この番組で小山田を取り上げたことがあって、その時は彼の大テーマである「鳥女」ばかりが印象に残っていたけれど、今回の番組では小山田のいろんな面も紹介されていてより強い興味を覚えた。
ただし画家の痼疾(顔面の病気)と作品を短絡し過ぎる観方は、私小説嫌いなボクの趣味ではない。
28日でいったん「1部」は中断して展示替えするというので、替えられるであろう未知の小山田作品も観たくて急遽行ってきた。
ちょうど卒論指導も終ったところだし、中断後は来年1月の10日から「2部」が開催されるというのだから行かざるべからず。
初期の人物画は解説どおりでルオーを思わせて気に入ったけど、すぐに変貌して間もなくビュッフェ色が濃くなっていくと思った(もちろん意識的な模倣ではなく)。
ルオーもビュッフェも好きだからいいのだけれど、その間の模索している時だけは面白さを感じない。
でも小山田を逸早く世に送り出したのが滝口修造だと言われると、いたく納得できるアヴァンギャルドな模索の連続ではある。
「鳥女」はいろんな時期に描かれているので、比べてみると作風の変化がハッキリすると思う。
後期は特に様々な作風が現れるので、デジャヴュ感に笑いを誘われる。
だれでも分かるシャガール風のものがあったり、見ようによってはジャコメッティを思わせたり、1枚だけムンクだろ? というのがあったりで楽しめる。
展示替えの対象は個人蔵の可愛らしい小品のようだから焦る必要はなかったかもしれないが、その種の傾向のものが好きな人は28日まで行った方が良いと思って急ぎ紹介しているしだい。

府中市美術館で700円というのだから近くて安いこともあるけれど、何度も通ってみたくなる実質を感じるので「2部」も行くつもり(2月22日まで)。
この美術館は3度目くらいだけど、意外に面白い企画を立てるので見逃せない。
画集は入手しにくいと思い買うつもりでいたものの、開いたらあまりに色が違うので止めてしまった。
驚いたのは色川武大「生家へ」を装丁していたことで、単行本を持たないので新発見だった。
文芸文庫の解説には写真が載っているので、画風の一端は伝わるかもしれない。
それにしても色川との取り合わせはピッタリ! と感じた。
先日のデ・キリコ展に比べるのも失礼だけれど、デ・キリコの単調さよりも10倍は充実していて楽しめる。
「2部」でもいいから、ぜひご覧ください!