茂登山長市郎  ギベルティ「天国の扉」  柳井正  壇蜜

今は録画してあった「世界の名画」のベルギー・ゲント美術館を観ながらこれを記しているのだけれど、午後0時からのNHKBSプレミアムの「シリーズ東京」が実に面白かった。
ゲントには有名な祭壇画以外にも19・20世紀ベルギーの画家たちの素晴らしい作品があって驚いたけれど、記しておきたいのは別のこと。
茂登山長市郎という名には全く記憶がなかったけれど、番組冒頭でいきなり「東京」ならぬフィレンツェが出てきて、例の何とかいう洗礼堂の扉が映されたので察しがついた。
ずいぶん前の番組で、このギベルティ「天国の扉」の修復代を日本人が寄付したという美談を見たことがあり、それが茂登山さんというわけだった。
この御仁92歳にも拘らず今でも自分の店(銀座並木通り、というのがミソ)の玄関で客の応対をしている元気爺さんということでビックリしたけれど、3日の朝日(ジャミラに朝日を止めてもイイと伝えたものの継続中)に同じく92歳のドナルド・キーンと95歳の金子兜太俳人)が対談しているので元気ジジイ達にビックリしたばかり。
間もなく66歳になろうとしているイチローとしては、老人ぶってはいられないと思い知ったしだい。
兜太の俳句の凄さは新年早々、一茶ん(イチロー)の年賀状の川柳(?)「松立つや老いてますます盛んなり」をめぐり、学大の4文字センセイ(朝から授業中にオ○ンコを連発していたケン爺)と格調高いメールをやり取りしたばかり(格調高いのはケン爺の方だけど、この国語学ジジイの守備範囲の広さもスゲエ)。
キーンは有名人ではあるものの研究者としてのレベルは低くて評価する専門家はすくないはずだけど、地震を契機に帰化して「日本人」になったという美談には見直したものだ、エライ!
例によってイチロー話は脇に逸れたが、この茂登山さんは若い頃に洋モノに魅せられて商売したいと決意し、ようやく願いがかなって洋行する際に写真家の名取洋之助(あの土門拳の師匠だと「昭和偉人伝」という番組で知ったが、文芸銃後運動で一緒に旅したのは高見順だったかナ?)に相談すると、「アメリカなんかには文化が無いからヨーロッパに行け」その他の実に的確で有益な助言を受けたという(名取の助言は本当にスゴイ!)。
茂登山さんは名取の助言を生かしながら、グッチその他のブランドを日本で初めて扱う店を並木通りに開いて、並木通りを並木通りにした功労者だった。
ヨーロッパのように裏通りにホンモノを売る専門店が集まる通り、というものを茂登山さんが作ったということだそうだ。
この人の脳は硬直化せずに排他的とはならないので、労働者を搾取して安物を売って銀座にも進出したユニクロ店を否定していなかったが、この店はあくまでも表通りなのもミソ。
社長の柳井正というニンゲンとしての貧しさも、以前ブログに記したことがあるが、茂登山氏とは正反対の極悪人といったところ。
柳井が純粋に文化のために貢献したという話は聞いたことがないし、絶対にあるまい。

こんな話になぜ表題に壇蜜の名を出したかというと、この番組のナレーションが彼女だったからだ。
「からだ。」と記したからとはいえ、イチローは彼女の「身体」はほとんど見たことは無い。
もっぱら「着衣のミツ」でしか知らないのだけれど、このナレーションも見事なものだった。
以前ブログに記したBS日テレの「久米書店」におけるアシスタント役もハマっていて頭の良さが滲み出ている感じ。
ゴヤのマハは裸も着衣もステキだけれど、「裸のミツ」のダイゴミを知るにはどんな写真集を鑑賞すればいいのか、教えて!(ブックオフにもあるかな?)