川上未央子  山本昌代  『不思議なキリスト教』(大澤真幸・橋爪大三郎)  『差別と日本人』(野中広務・辛淑玉)  斎藤隆夫

ブログに「読む」コーナーを設けたのを忘れていた。
仕事だから当たり前すぎてブログに記そうという意識に上らないからかな(ジャミラに言わせれば、カネにならないから「仕事」ではないということになるが)。
ごく最近、やっと川上未央子を初めて読んだ、芥川賞の「乳と卵」。
新聞か何かで短いエッセイ(?)を読んで、その文体に惹かれていたので楽しみだった。
春樹の作品は発表から5年以上経ち、ホトボリが冷めてから読んでいるけれど、未央子のは受賞後7年だったのは機会を失していただけのこと。
期待通りで読ませる力量がスゴクて、アッという読了してしまった。
次は「ヘヴン」と思ったものの、他にも読む機会を失したままの作家・作品があるので、その中から昨夜は山本昌代「応為坦坦録」を読んでしまった。
山本は近藤裕子ハカセが学大博士課程にいた頃に教えてもらった作家で、10冊ほど買い溜めてあるものの在職中は読む余裕をもてなかったもの。
既読の「江戸役者異聞」と同じく時代モノで、応為は北斎の娘である画家の名前でとてもオモシロイ作品(文藝賞受賞作品)。
山本の病気モノ作品の方は難しいところがあるけれど(ハカセに読み方を教えられて初めて分かったものもある)、時代物は気軽に読めるのがイイ。

『不思議なキリスト教』はご存じ大澤真幸(質問者)と橋爪大三郎(解答者)との共著のベストセラー(?)。
期待以上によく分かるように語られているのは、橋爪の説明が絶妙だからだろう。
(橋爪は東大闘争のさ中、駒場の第8本館[ハチホン]にいたような気がしてならない。東京国立近代美術館の馬淵館長も同様の記憶がある。)
大澤を読んだのは『坂口安吾 復興期の精神』の所収論文が初めてだが、社会学者かと思っていたらむやみに哲学的なので驚いた。
橋爪に対する質問も極めて鋭いツッコミぶりで、フツーの読者が見過ごしてしまいがちな疑問点まで質問を仕掛けてくれるので感心するばかり。
一読の価値あり、お勧めする!

『差別と日本人』は105円コーナーで見つけておいたもの。
出版された時に(2009年)新聞の広告を見て、野中という人は自民党ながらド偉い人だと認識を新たにしていた。
共著の辛さんも記しているが、自民党には他にも後藤田正晴という評価できる政治家もいることは知っていた方がイイ。
先日自分の頭では考える脳無しの山本一太について記したが、その後も別の番組に出て(党の外交委員でもしているのかな)オバカをさらしていた。
驚いたのは山本よりもっと低能な産経新聞の記者が出ていて、後藤さんに海外渡航許可を出したのが間違いだったとまで言っていた。
後藤さん(たち)が報道しようとした「不都合な真実」は、国民(世界の人々)に知らせるべきでない、というのがホンネだろう。
さすがはサンケイ、ブンシュンに勝るとも劣らない頭と心の固さ!!!
話を元に戻すと、岸信介佐藤栄作安倍晋三麻生太郎石原慎太郎と並べると、自民党は悪人かバカばかりのような汚れたイメージになるが、清廉な野中さんの本書を読むと救われた気持になれる。
自身が受けた差別に挫けることなく、屈辱をバネにして闘い続けた野中広務自民党を超え、歴史に残る日本の政治家と言える。
以前取り上げた、戦争中に軍部を批判した斎藤隆夫も同様だが、先日やっと自家のロフトで『斎藤隆夫かく戦えり』(草柳大蔵著)を見つけた。
1981年に出た本だから入手は困難だろう。読みたい人には貸します。