演劇  鄭義信  GS近松商店  ミッツ・マングローブ  長塚圭史  つかこうへい

たった今、BSプレミアムで鄭義信の「GS近松商店」を観終わったところ。
前に「焼肉ドラゴン」という作品の放送を観てビックリ感動したので、期待したものの大きく外れてしまった。
おせちの残りを処理するように言われ続けているので、昨日だけは休肝日にして呑んだのだけれど、ご多分に洩れずおせちはマズイ(銀座の何とかいう店)ので釣り部の時の新鮮な海鮮ツマミのような幸福感は無い。
それでも釣り部に持参したメイ(前助手)から贈られた赤ワインを手つかずのまま持ち帰ったので、それを独りながら開けさせてもらっていつもの独り酒をしながらの観劇だったが感激しなかった。
途中から眠ってしまったのだから退屈したに違いないけれど、目覚めてからは近松のパロディとしての手際はよく伝わってきた。
前半は「曽根崎心中」の翻案だろうけれど、後半が意外にも「女殺油地獄」のパロディに移行したのは意外で才能を感じた。
それでも全体としては引き込む力を感じられなかった。
NHKのフランス語入門に生徒として出ているキモワルの渡辺豪太クンが熱演(?)していたけれど、キモワルには違いなかった。
「焼肉ドラゴン」はぜひご覧ください!

番組の後半は長塚圭史作・演出の「かがみのなかはたなかのかなた」の再演だったが、よく練られた戯曲だというところは伝わって来た。
松たか子が鏡に映る姿を演じたのが長塚圭史なので意外性が笑えるのだけれど、それ以上に(客席も)笑えたのは女装するとミッツそっくりだったからだろう。
長塚は劇作家としては才能を感じるけれど、役者としては(朝の連ドラで有名になったそうながら)不細工顔なので女装するとオカマのキモワルさが露出してしまう。
前にも記したように、ミッツの方がマツコより気持悪いと言った人もいたが、目くそ鼻くそで議論しても不毛だろう。
どちらにしても見るに耐えぬ不快感を持つ人がいるのは否定できないだろう。
それでもこの種のマイノリティ(ではなくなっている印象ながら)が露出の度合いが増すにも拘らず、偏見が解消されないのは残念だ。
マツコが茶の間でも受け入れられている一方で、世間ではオカマ等に対する反発が続くのは、(心底では)差別しながら許容・受容しているせいだと愚考しているが、どうだろう?
観劇の感想の流れで付せば、ブス殺しを立派な殺人犯に仕立て上げる傑作「熱海殺人事件」を残したつかこうへいは、オカマが大嫌いで「オカマに敬語など付けることはねエ、カマでたくさんだ!」と言い放っていたことを思いだした。
ボクと同年のつかが生きていれば同じ言葉を公言していただろうが、つかのことだから袋叩きにあっても言い続けたことだろう。