坂口安吾  大久保喬樹

Eテレ月曜10時25分〜(再放送水曜昼0時〜)の「100分で名著」が安吾を取り上げ始めたので喜んだものの、講師が大久保さんだと知ったら期待が薄くなった。
聴いたら予想通りで何にも得られない結果となったけど(第1回に限ってのことながら)、期待するほうが間違っていたわけだ。
大久保さんは(人柄も良く)比較文学が専門でたくさんの著書があるけれど、安吾の専門家ではないから表層をなぞるような話しかできないのは仕方がない。
そもそも専門的な番組ではなく、啓蒙的なものだから無い物ねだりをする自分の方が間違っていた。
ベンゾーさん(石井正己)が柳田国男を担当した時は(テキストは別人がまとめたようだけれど)、ボクがシロウトだから面白がったせいもあったのだろう。
かといってボクは安吾の専門家でもないのだが、例えば長年安吾研究を継続している浅子逸男さんなら、もっと安吾のことを深く話してくれそうなイメージが湧いてくる。
この間の安吾研究会でも(3月だったかな?)珍しい資料を使いながらとても奥深い話を聴かせてくれたものだ。
この番組で賢治が取り上げられたのかどうか知らないけれど、これも栗原敦さんあたりが担当すると啓蒙的だけではない深イイ話を聴けるだろうと期待する。
ともあれ安吾を復習したい人におススメしておきたい番組。

直哉を軸にした日本文学の流れに抗する存在として安吾(の文学)を位置づけつつ、『太宰・安吾壇一雄』という本を思い浮かべているのだけれど、いっこうに捗らないのは安吾が分かった気がしないからだ。
もちろん自分のグズが原因で、学会やヒグラシゼミで取り上げられる作家に浮気してしまうために、安吾を読む時間が無いのが主因だ。
半年ほど前だったかに、やっと「吹雪物語」読了できたのは進展だったけれど、そのツマラナサのせいか後が続かなかった。
2・3日前に偶然ながら「ふるさとに寄せる讃歌」を読み始めたのだが、どう読んだらいいのかまったく歯が立たなかったしだい。
もちろん初読ではないのだけれど、こんなに難解なものを分かった気で(?)いたのが不可解センバン、時間をかければ分かるという可能性も覚束ない。
何度もくり返した記憶はあるけど、また「安吾は難しい!」と悲鳴が出てきそう。