将棋と文学研究会  小林秀雄と坂口安吾

「聴く」と言っても音楽じゃなくて発表の方ネ。
去年の安吾研究会で松村良さんが(オダサクだったかアンゴだったかの作品を素材にして)将棋の話はしていたけれど、全く興味を覚えなかった(のはブログでも記した)。
その時も少々フロアとの間でやり取りがあったのを見ていたけれど、何と「将棋と文学」をテーマにした研究会が組織されるほど人が集まるとは思わなかった。
人間の存在のダイバーシティ(なァんて「多様性」を流行りの英語で言ったりして)は限りが無いようで、将棋や囲碁のようなモノスゴク頭を使うゲーム(「ゲーム」と言うと叱られるのかな?)などに打ち込む人がそれほど多数いるとは信じがたいンだけどネ。
そもそも遊びで(身体を使のは好きだけど)頭を使うのが嫌いなボクからすると、あんなにギリギリまで頭脳を追い込んで何が楽しいのかサッパリ分からん。
でも今日(7日)の集まりは安吾研究会を通して案内があり、小林秀雄安吾とを比較(?)するような発表があるというので、小谷瑛輔さんを介して発表者の近藤周吾さんから詳しい要旨を伝えてもらい、その気になって楽しみにしていた。
とはいえこのところ学大院修了生が就職した大学での集中講義の相談に乗って時間を費やしていたので、研究会がまさか今日だとは思っていなかった。
今日、宅急便に対応できるかと問われて大丈夫と応えてから手帳を見たら、なんと研究会の日ではないか!
それから慌てて昼風呂に入ったりヒゲを剃ったりでタイヘンだった。
自家にいながら見た目はホームレスという矛盾した存在なので、急に出かけることはできない。
それでもヒゲを剃ったり洗髪したりすると見違えるほど男が上がるので、吾ながら自分に惚れ直したりしているうちに遅れてしまった!
それにしてもこんなにイイ男を、若いカワイイ子たちがなぜ放っておくのだろう?

近藤周吾さんの発表はほぼ全面的にボクの考え方とは反対だったので、とても刺激をうけたり教えられたりで参加した甲斐があった(同じ意見ならわざわざ聴きに行くまでもない)。
近藤さんの論は近々雑誌に発表されるそうなので(遅れたので雑誌名を聞き逃した)詳しいことはここに記さないで、ボクの感想と意見だけにしておきたい。
将棋についてはシロウトながら、小林秀雄志賀直哉は定石で打つタイプだと察せられるし、安吾だけは定石破りの手を繰り出すイメージだ。
小林のみならず直哉を核とする日本の多くの文学者が鬱型人間であり、ミメーシス(模写)という方法を身に付けていて将棋は皆定石タイプだろうし、逆に分裂型人間でありミメーシスという方法を持てずにいた安吾の将棋は定石破りだろう。
後で知ったのだけれど、長時間発表したり議論したにも拘らず、近藤さん(達)は研究会の後に将棋を差したとのこと(ようヤルわ!)
ボクは渋谷駅近くの上州屋に寄り、10月の釣り部で盗まれた玉網(釣れた魚を掬い上げる柄の長い網)をゲットした。
遊びは頭じゃなくて身体を使うに限る、釣りだけじゃないけど。