「英雄たちの選択」  高田屋嘉兵衛  榎本武揚  EQ  スーパーラーナー

このところ一押しの番組では北海道を舞台に活躍した人物を取り上げているようだ。
先週は高田屋嘉兵衛で(ブログを更新しながら?)見ていたので内容把握が疎かだったので、改めて今朝の再放送を見た(けど寝過ごして後半のみ)。
それにしても高田屋というのはスゴイ人だったのだと感心しきり、司馬遼太郎に小説があるそうで「菜の花の沖」を読みたくなった。
ロシアとの交渉ができた国際的意識は、高田屋が武士の閉鎖的な意識とはかけ離れた開けた感性を持っていたためだという指摘にはいたく納得。
番組ではそこまでだったけれど、武士の意識の限界から免れていたのは勝海舟であり、その教えを得た坂本龍馬なのだろうと考えてみた。
龍馬が新日本の在り方を示した「船中八策」の開明さは時代をはるかに抜いていたと思うけど、やはり武士の時代から超然とした意識で生きていられたからだろうナ。
同じようなことを以前ユウ君が「龍馬は商人ですから」とネガティブな言い方で語っていたけれど、ボクは龍馬の意識が高田屋と同じ「商人」的であることを肯定的に捉えたい。
もちろんイチローの父親も祖父も文字どおりの商人だったことと、龍馬や高田屋に対する評価は無関係。
どちらにしても龍馬や「船中八策」を、橋下徹のような独裁者志向のジコチュウ人間に語って欲しくはない、龍馬が穢れる感じがするので。

番組内でMCの磯田通史さんがIQ ではなく「EQ」(EMOTIONAL INTELLIGENCE QUOTIENT=心の知能指数)という評価軸があるのを教えてくれたので(常識なのかな?)、IQ 偏重のバカバカしさが笑えて嬉しかったけど、わが中野信子さんが専門家の立場からそれに補足しながら高田屋の「スーパーラーナー」だった可能性を指摘していたのも、教えられつつ感心したものだ。
EQ は自他の感情を把握し・自分の可能をコントロールする知能だそうで、SUPER LEANER というのは語学の天才で未知の言語をアッというまに操れる能力のある人のことだそうだ。
高田屋はアイヌとの取引を通してアイヌの言葉を自分のものとし、ロシアに拿捕(だほ)されて連れ去られた際にロシア語を短期間に理解し話せるようになったのが、彼のその後の活躍を保証したのだろうというのが中野さんの理解、なるほど。
実際にスーパー・ラーナーに会ったことはないけれど、学生時代に同じ塾で教えていた蔀さん(元東大東洋史教授)がそういう人を知っていると言っていたのが思い合わされた。
どんな分野でもスーパーな人がいるものなんだネ。

今夜「英雄たちの選択」で取り上げられたのは榎本武揚、スーパーマンじゃないかもしれないけれど偉い人だ。
土方歳三らと共に函館の五稜郭に立てこもり、「もう1つの新政府」をつくって「総理大臣」に選ばれた人といえば分かるだろう。
文学作品では安部公房に「榎本武揚」という小説と戯曲の2種があるけど、個人的には戯曲がおススメ。
ずいぶん以前にこれを読んで《二者択一》の不毛さを学んだという記憶がある。
砂の女」の映画も(小説も)素晴らしいけど、オモシロさでは「榎本武揚」の戯曲が一番だネ。