篠崎美生子女史の龍之介論集成

土曜の学会会場で鏡花の資料をお送りしたばかりのケイコ先生(鈴木啓子さん)に出会い、そんなことなら手渡したのに(送る手間が省けたのに)とビミョーな気持だった(ケイコ先生は学会無視の人かと思っていたので)。
学会日の直前に落掌したミオコ先生(篠崎美生子さん)の大著『弱い「内面」の陥穽――芥川龍之介から見た日本近代文学』(翰林書房、3800円)の礼状を書く間もなく会場でお会いしたので、お礼は口上で済ますことができた(かな?)
(ちなみにケイコ先生は宇都宮大学の後任者なので、卒業生と共にケイコ先生とお呼びしている。
ミオコ先生は学大に非常勤で来てもらったことがあるので、学生と共にではなく個人的にミオコ先生と呼ばせてもらっている。
2日前の学会記事に出てきたナオさんはその時のミオコ先生の受講生で、先生から紹介されてボクの授業にも授業料無しで(フツーにやっていた)参加するようになり、そのままヒグラシゼミの常連として活躍中。)
学会でお会いして驚いたのは、大著に十分値する存在感を発揮していたこと。
運営委員をしていた頃に篠崎さんのデビュー発表の司会をしたという間柄なのだが、その頃のチビでヤセの姿をイメージし続けていたので、(例えば江種さんのような)押しも押されもしない堂々たる研究者然とした存在感(ノッポでデブになったというわけでは勿論ない)に驚いた次第(院生を連れていたせいもあるかも)。
篠崎氏の龍之介論はデビュー当時から注目されたレベルの高さで、その積み重ねが450ページほどの大著として(それも安価で)刊行されたので買わない手は無い。
個人的には龍之介には興味が無いけれど、篠崎龍之介は面白いので収録論文は送っていただいているので読んだものも少なくない。
研究論文のお手本として、龍之介以外を研究している学生たちも手許において調べ方なり書き方なりを学習するといい。
唯一の難点は表題のツマラナサでセンスを疑いたくなる、刊行前に相談してくれたらもっとオシャレな題を考えてあげたのに・・・それにしてもヒドイ、理系の論文・著書じゃあるまいし。