ボストン美術館展の感想  ゴッホ  蕭白  ウォーホル  ワイエス

涼しくなったら観に行こうと思っているうちに忘れていた展覧会だったところへ、行ってきた大先輩からドガが良かったとメールもらって思い出して行ってきた。
今月9日までだから、興味のある人はお急ぎ下さいというところだけど、ぜひどうぞ! とは言えない事情は以下の通り。
ブログ用に書き直すのは面倒だから、大先輩に送ったメールをそのまま貼り付けて済ませてもらいます。

今日の法政の授業はやったことのある作品で楽だったので、都美に寄ってから行きました。
真っ先に「フランス美術」のドガに直行しました。(註――「古代エジプト」「中国」「日本」「フランス」「アメリカ」「版画・写真」「現代美術」の7部門に分けられている)
「フランス美術」を全部観てからも思いましたが、この美術展でドガに注目するのはよっぽど目の肥えた人だということ。
ゴッホも含めて程々のところの作品ばかりなので、ドガの珍しい習作がインパクトを放っているのだと感じました。(註ーーゴッホは有名なルーアン夫妻が揃っている)
呑気な対象を比較的安定した精神状態で描いたと察せられるゴッホには、いつもの突き刺すような迫力が伝わってきません。
絵としては夫妻の描き方が異なるようで、夫人の方は浮世絵の平面性が試行されていると観ました。
シスレーを始めとして好きな初期印象派ブータンベネチアはチョッとイイ)やピサロ(緑色系ベッタリで最悪)も大したものが無く、「現代美術」のウォーホルも2枚だけの対では「らしさ」が伝わりにくく、何とも捉えどころの弱い展覧会でした。
モネの「ルーアン大聖堂」は素晴らしいのですが、他の時刻の作品が添えられていたらホンモノの深い味わいが伝わるだろうと惜しまれました。(註――「積み藁」シリーズ同様で、「ルーアン大聖堂」も時刻を変えて描いたものが十数点ある)
ミレーの農民もツマラナイものでしたが、意外に「洋梨」が小品なのに響いてきました。
よく観たら「出品リスト」には「カンヴァス」と記されているのですが、作品の説明(何と呼ぶのかド忘れ)には「板」(panel)と表記されていた通り、カンヴァスに描かれた色彩とは違った深い味わいでした。
ついでのように観た「日本美術」は曽我蕭白が光っていましたが、最近は東洋絵画に惹かれなくなっています(何故でしょ?)。
それにしてもどの部門もホドホドの作品ばかりで、これ! というモノが無い平板で啓蒙的な所蔵品だけなのはアメリカの特色なのでしょうか?
そういえばアメリカの美術館の展覧会は初めての体験ですが、ニューヨーク美術館等もこんな感じなのだろうと決めつけてしまいました。

アメリカ美術ではオキーフが2点ありましたがピンとこずに、在職中にワイエス展に行ってアメリカ絵画もイイなぁ〜と思い出したきっかけになった程度でした。
学大の美術科の若手教員にワイエス展が良かったと言ったところ、抽象画世代の彼に鼻で笑われたのを覚えています。
文学を始めリアリズム好みの自分自身を再発見したといったところです。
ちなみに埼玉県の丸沼芸術の森というところで、ワイエス展をやっているようです。
長くなりました。