カミュ「ペスト」  「100分 de 名著」

だいたい観ている番組だけど(月曜夜と水曜早朝と昼時)、今回(とはいえ半分終わっているけど)はアルベール・カミュなのでおススメする次第。
カミュといえば「異邦人」で、在職中でも時々読んだという学生がいて嬉しかったものだけど、「ペスト」を始め「異邦人」以外を読んだ人はあまり聞かない。
時々「シジファスの神話」(新潮文庫)を授業で解説したことがあったけど、大江健三郎「奇妙な仕事」系列の作品への影響という観点だったと思う。
ボクの学生時代はサルトルと同じ実存主義と誤解されながらも評判だったけれど、その頃から「ペスト」(と「カリギュラ」)を読むのが楽しみだった。
小林秀雄も「ペスト」を読んで感想を書いているのも読みたい理由になっているけど、中村光夫の勧めで読んだのかな。
「異邦人」を訳した中村は広津和郎と有名な(?)「異邦人」論争を闘い、不条理文学を受け付けられない広津に向かって《年は取りたくないものです》と言ってのけた、というのは面白い。
分厚い新潮世界文学の48・49の2冊がカミュのⅠとⅡで、安価でゲットしたのはずいぶん前のことながら読めないまま今日に至っていたので、今回番組で取り上げてくれたのはありがたかった。
実は先日読み始めたところなのだけど、ネズミの死骸のくり返しを読んでると開高健の「パニック」が重なってくる。
解説は中条省平さんで、一見ウサン臭い人ではあるものの意外にまともなことを言うので信用できる説明なのでおススメ。
もちろん「異邦人」がまだな人は、そちらが先だネ、すぐ読めるし(「ペスト」は長い)。