木田金次郎展  有島武郎  府中美術館

木田金次郎と聞いてすぐに画家の名だと分かる人は、有島武郎のファンだろう。
「生まれいづる悩み」のモデルになった画家の名だから。
どうせ観るに価しない画家だろうと思っていたところ、先週の「日曜美術館」の「アートシーン」で2・3枚取り上げられたのを見たら、観に行く価値があると思って今日行ってきた。
7月からの展示だそうながら(日美でもっと早く取り上げてくれればいいのに!)9月2日までというので、1・2日は恒例の(高齢の)三好行雄師のご家族との旅行会に出かけるため、今日の実施となった。
最初の部屋の展示は有島関係が中心で、まるで文学館に入ったような感じだった。
本命の金次郎の絵は期待ほどではなかったものの、ツマラナイものでは決してなかったので、有島ファンにはおススメ!
特に最初期と戦後期がイイかな、といっても中期(?)の数十年分は火災で焼けてしまったとか。
初期は『白樺』・有島の影響だろう印象派の影響が濃くて力強いけれど、しだいに形にこだわらなくなって作品によっては何を描いたのか分かりにくいものもある。
中には長谷川利行を思わせるものもあって、それに惹かれたのかナという自覚が湧いてきた。
近寄って見るより、少し離れて観た方がイイ絵に見えるのは確か。
素材がたくさんの船が繋留された港・山・リンゴ・花(牡丹やバラ)などに限られるので、単調になってくるのは否めないけれど飛ばしてみる気になるわけでもない。
特別常設なのか小山田二郎の小品が20点(他の常設展室には100号くらいのが1点)くらいあったけど、それらが昔観た(同じ府中美術館)時ほど面白くないと感じたのは金次郎の絵のせいかな?
とにかくこの美術館の企画は渋くて素敵なものが少なくないので、国立からも近いこともあってけっこう行っているヨ。