(おススメ番組) 「100分de 名著」漱石特集  阿部公彦

何度も推薦してきたEテレの「100分で名著」(月曜夜で再放送は水曜早朝と昼時)が漱石を取り上げるというので、誰が解説するのかと人選が興味津々といったところだった。

研究者なら誰がやろうがあちこちから石つぶてが集中するのは明らかなので、とても難しいはずだから(漱石研究者は特にケチをつけ合うのがお好きだし)。

顔を見たら学大のベンゾー(石井正己)さんに似ていて「誰?」と思ったら、英文学の阿部公彦さんだった。

学大で修論を指導したキッド君から教えてもらった研究者で、面白そうだから『文学を〈凝視〉する』(岩波書店、2012年)を買っておいた(けど、読んでない)。

目次のほとんどが日本近代文学作品で、漱石・直哉・太宰・春樹・健三郎・古井由吉などが並んで興味をそそる。

デューラー・ホルバイン・ロスコなどの画家の名前が副題に目立つように、著書の表題「凝視」のとおり視覚にまつわる切り口の論じ方のようだ。

だいたい他分野の人の日本文学論は刺戟が得られることが多いものだけど、美術も好きなボクとしてはひと際多くの勉強をさせてもらえそうな本だネ。

副題を眺めているだけでもバカじゃないことが明らかだし、キッドが評価しているくらいだから面白い論じ方をしているように見える(ついでに付しておけば、キッドとスージーは去年か一昨年結婚にゴールしたヨ)。

1回目の「三四郎」を聴いたら新しい見解はほとんど無かったけれど、頭のイイMCの伊集院光がスゴク惹きつけられた表情をしていたから、専門家以外にはとても面白く聴けると思う。

2回目は「夢十夜」で上記の著書でも論じられていて、副題にボクも昔とても興味を惹かれたフラクタルが含まれているので、読んだり聴いたりするのが楽しみ。

フラクタルは去年紹介したチバちゃん(千葉俊二)の新著でも使われていたけど、難し過ぎて入って行けなかったナ(文学書なのにヤリ過ぎたネ)。

ともあれ久しぶりに阿部さんの著書を本棚から引き出したら、このまま読み続けたいと思ってしまうほど面白そうな本だヨ。

その後も日本近代文学作品を含む著書を出しているようだから、将来の楽しみにしよう。