坂口安吾研究会の研究集会  石川義正

9日の安吾研究会に行ってきた、会場は日大商学部成城学園駅からバス)。

石川義正という未知の批評家の講演で、「坂口安吾とレイトモダン~万福寺をめぐる三つのテキストについて」というもの。

そのための準備の読書や投稿論文指導などで、ブログの更新がままならなかった次第。

ヒザの方は8日に病院でマッサージをしてもらったので、ぶり返していた痛みも薄らいだ感じだったナ。

ただかけ蒲団の重みで痛みを感じるので、眠りが妨げられる夜の睡眠が十分でない分、昼間仕事机に座ったままの昼寝の時間が増えている。

9日も早めに目覚めたので電車で昼寝をしていたら、危うく乗換駅の登戸を寝過ごすところだった。

電車で寝ただけに講演は聴いていられると思ったのに、10分も聴かないうちに熟睡してしまったので、内容はいっさい理解できなかった。

いつもどおり一番後ろの席に座っていたけれど、目覚めてからイビキをかかなかったかナと気になった。

院生時代にゼミの際中に眠り込んで目覚めたら、皆さんがこちらを見ていて隣りの根岸(現・亀岡泰子)から「イビキをかいていましたヨ」と言われたことがある。

幸い三好師には叱られなかったけど、オスギ(杉本優)の「明暗」論が痔の話ばかりで退屈したせいもある(と他人のせいにしておこう)。

石川さんの講演は刺戟的な発想が伝わってきたので聴きたかったのだけど、話し慣れてないのか原稿を棒読みする感じで集中しにくく、眠気を誘われるのでガマンしきれなかった(とここでも他人のせいにしたいけど、眠ったのは自分だけだった模様)。

休憩時間に原卓史さんに発表の主旨が聞けたり、後半の議論に入る前に福岡浩彬さんが要点をまとめてくれたお蔭で眠っていた分が取り返せた気持にはなれた。

福岡さんの極めて興味深い論文「保田与重郎、空転する『デカダンツ』」(『国語と国文学』2016・7)をいただきながら、法政大院の授業にするため未読だったけれど、この論が安吾論でもあるということなので、先ほど探し出してきたところ。

個人的な関心からすれば、こちらの論の方がずっと面白そうだネ。

石川さんが詳しいらしい建築に合わせて、福岡さんがメタボリズムという専門用語を出しながら質問していたので、よく勉強しているものだと感心したけど(こちらが無知なだけで)常識のレベルなのかな。

ともあれ質疑応答の時間がタップリあったので、それを喜んで拝聴しているうちに講演内容がさかのぼって伝わってきたので助かった。

学会は辞めたと言っていたリンリン(林淑美)が来たので「?」と思ったけど、安吾研究会だけは脱会してないのかな?(確認し忘れた)

リンさんに捕まると深酒に付き合わされるので、見つからないようにしていたのに後で「すぐ分かったわヨ」と言われてしまった。

彼女がいつもの遠慮のない態度で、ボクの一番知りたかった万福寺の意味付けを質問してくれたけど、石川さんの応えは万福寺自体を意味付けるつもりは当初から無かった、ということだったので拍子抜けしたナ。

寺院や仏像にも関心があったので、万福寺の異様さには昔から興味を抱いていたため、安吾の(日本文学における)異質さとの響き合いを説明してくくることを期待したけど、そういう趣旨ではなかったようだ。

他の寺院には見られない中国風の万福寺には違和感を感じていたけれど、発言したとおり中国人であるリンさんにはむしろ親近感があると言われるとナルホドだった。

宗祖隠元の本名が林(りん)で自分と同じだという補足にも笑えたヨ。

懇親会には出ないというリンさんと(同じ国立なので)酒無しを期待しつつ一緒に帰ることにしたものの、ボクがトイレに行っている間にはぐれてしまったので、一橋大院生だった頃に知り合った木村クン(仏文)の協力を得て探したけれど合流できなかった。

それにしても木村クンに会えるとは驚きだったけど、茨城大院の修士を出て今は筑波大の博士課程に所属しているとのこと。

茨大時代には谷口基さんとボクのウワサをしていたとか、懐かしい2人である。

木村クンがロブ・グリエを研究しているとのことなので、先般「嫉妬」が収録されている「世界の文学」(中央公論社)をゲットしたばかりでもあり、今後専門的な見地から教えてもらえそうで参加した甲斐があったというもの。

講演の内容はよく理解できなかったけど、今回の企画に携わった若手の研究者が評価している石川義正という人を知りたくなって、帰り道に立川のジュンク堂に寄って『錯乱の日本文学』を買った(定価3200円)。

帯には先日レイプ学科教授として名を出したばかりの渡部直己さんの推薦文があったので苦笑してしまったけど、売れ行きにはマイナスではないはず。

犯罪者が為す(為した)こと全てが悪という短絡は、幼い過ちだから。

後書きを読んだら、石川さんはスガ(漢字が出ない)秀美さんの「教え子」だそうだけど、最近スガさんの名を聞かないのはどうしたのかな?

アメリカ留学から帰国した頃に近代文学会で講演してもらい、運営委員として司会をしたのを思い出すけど、まだ日本では流行る前に「カノン」というアメリカ直輸入のタームを、スガさんが「キャノン」と発音していたのは鮮明に覚えている。

その後、横光利一研究会でも講演したのを聴いたけど、これは全く無内容で横光について無知ぶりを示しただけだった。

1・2冊は著書を持っているスガさんはともかくも、石川本の目次を見る限りテーマにはあまり惹かれるものはないけれど、論じられている作家が小島信夫大岡昇平大江健三郎村上春樹なので、自分で読まなくても要望しだいで貸せるかなとも考えた。

例えば院生と一緒に熱心に小島信夫を読んでいたヒッキ―先生など、と思ったものの彼のことだから既に石川さんの存在も知っていて読んでいるはずだネ。

昨夜から書き始めて、先ほどNHK・BS1の「映像の世紀」を見ながら続けて記したけど、眠くなったのを機に擱筆したい。