毎号送っていただいている早稲田の研究同人誌『繍』の最新号を頂戴し、ボクの守備範囲の作家についての論は無かったものの、それぞれが余裕次第で読みたくなるような魅力的な論文9本が目白押しに並んでいる。
さすがにワセダと思わせる充実度ながら、このレベルの維持には同人同士における「白熱する討論」にも依っているとのことで、嬉しいことであり学ぶべきことだ。
放置している間に、これも毎号送っていただいている首都大学東京の研究同人誌『論樹』最新号も頂戴し、最高水準の研究誌2つながら手許に置ける幸せを感じつつ、仲間の皆さんには請求に応じて論文のコピーを差し上げている。
『論樹』の方は学科の規模が小さいながらも、持続させる意欲には毎号敬服している。
大規模なワセダと異なるのは、時に教員が執筆している点で、今号には大杉重男氏が「糞尿」を含む20字以上の長い論文を載せている。
関心のある日野葦平も言及している論かと思いきや、古賀忠昭という無名詩人についてだけの大論文だった。
故人となったこの詩人から指名された筆者が、詩人が提起していた天皇制や部落差別やら慰安婦の問題を正面切って論じている、その批評家魂には頭が下がる。
このような教員の熱意にも支えられている雑誌なのだと納得。
そう言えば、大杉さんが珍しく漱石を取り上げた『アンチ漱石~固有名批判~』をすぐにゲットして読み始めたものの、在職中の多忙にかまけて3分の1ほどまで読んだ後は放置してあるのを見出した。
残された時間が(特に読書可能な脳の時間が)限られているのに、読みたい本・読み残している本が増える一方なのは悲観的にならざるをえない。