恩田陸は若い仲間が読んでいるらしいので、在職中から気になる作家だったのだけれど、キチンと読んだことがない。
「蜂蜜と遠雷」は書評を読んで読みたくなったのか、記憶に残っている作品だけれど、まさか音楽コンクールがネタになっているとは知らんかった。
この小説との関係は不明ながら、まさに同じネタのドキュメント番組をやっていてけっこう楽しんだ。
昨夜だと思うのだけれど、昨日の新聞を見ても番組が見つからない、これもボケのせいかな?
ともあれブログを書いていた時だと思うのだけれど、「蜂蜜と遠雷」が紹介された後で浜松国際ピアノ・コンクールの経過を追った番組をやっていた。
数人のエントリー奏者に焦点を当てていた中で、特に牛田智大という可愛らしい少年に時間を割いていたナ。
「可愛らしい」というのは昔の話というべきなのだろうけど、ボクも「題名のない音楽会」あたりで見かけた美少年だ。
可愛らしい割にはピアノが上手なので、こりゃ一時期だけ持てはやされた挙句、やがて捨てられることになるだろうと思っていたものだ。
それが最終審査まで勝ち残っていたのだから、ひと事ながら嬉しい誤算だった。
可愛らしさは残っていたけれど、ピアノの腕は本格的なレベルに達していたのでビックリ。
殊にロシアの(?)教師にプロコフィエフ(ソナタ7番だったかな)のレッスン風景はすさまじいもので、こんなひ弱な身体でよくも激しい演奏ができるものだと感心することしきり。
残念ながら優勝は果たせなかったけれど、ハイ・レベルの国際的なコンクールで堂々の2位を獲得したのだから大したものだ(ちなみに優勝はトルコの同世代の優勝経験者)。
最終審査はオケとラフマニノフの2番を演奏していたけれど、実は可愛らしい少年だった時に中村紘子に認められてレッスンを受けていた時に、この曲に対する中村の思い入れを伝えられたのが選曲の機縁だったとか。
著名すぎる曲ながらも、一部の放映を聴いただけでもそれなりの演奏だと感じられたのだから、大したものだと思ったネ(実は難曲である同じラフマニノフの3番を演奏した韓国のピアニストの方がスゴさをかんじさせたけど、4位だったかナ)。
メディアに可愛らしさを利用されてテレビに露出し始めた頃に、中村紘子先生から「タレントになるのなら指導しないから」と言われて目が覚め、ピアノに打ち込むことにしたのだという。
中村先生もエライけど牛田クンもエラかったネ、その後はチヤホヤされるメディアから距離を置いて、ひたすらピアノに励んだとのこと。
楽器で、特に競争相手の多いピアノで一人前の奏者として確立するには、血のにじむ努力の積み重ねだろうから、安易なタレント「天国」の道を断念しつつ、「地獄」の苦しみを味わった末に1つの達成を果たしたのだから素晴らしい。
もちろんこの先も大変だろうけど、ショパン・コンクールで優勝してからはメディア(演奏会)から距離をとって、ミケランジェリの下でさらに研鑽を重ねて歴史に残るピアニストとなったポリーニほど、厳しい道は選ばないだろうけどネ。
笑えたのは、以前「駅ピアノ・空港ピアノ」という小粒ながらステキな番組を紹介したけれど、牛田クンは浜松駅の「駅ピアノ」の利用者としてもファンを掴んでいるとのこと。
ともあれ見るからにジャニーズ的な存在ながらもタレントの道に甘んじることなく、中村先生の訓えを守り続けて一人前のピアニストに成長しつつある牛田クンの姿は爽快だった。
再放送もするだろうから(これが再放送だったか?)おススメします。
けな気な牛田クンに比べると、最近とみに露出して目障りな古市憲寿の醜悪さは堪えがたく、吐き気をもよおすナ。
見るに堪えない見かけにもかかわらず、ケバケバシイ流行最先端のような衣裳を着せられていきなり出てくるので困る。
「タレント」仲間のオバサンたちに着せられているとか。
ゲスの極みという問題の男も、芸人からさえ「あのツラでよくも女をダマせたものだ」と怒りを買っていたけれど、古市と似ていたようで顔の区別がつきにくい。
古市は定見の無いままどこでも放言して嫌われ・炎上騒ぎを起こしているところがメディアに利用されやすいようで、このところむやみに出てくるので反吐が出る。
まさにメディアに消費される存在に堕ちている姿なのだけれど、本人がそれで満足しているようだから救いようがない。
研究の道に戻ってマットウに生きろと言っても今さら伝わらないだろうし、情報だけで生きてきた軽い存在のナレの果てといったところだネ。
@ 長々と書いてしまったのは、今日は一仕事して帰宅したので呑むほかなく、例によってひと眠りして目覚めた後で、プレミアムシアターのジャン・ジュネ「女中たち」を観ながら書いているからだネ。
三島由紀夫がジュネを評価していたと思うけど、「女中たち」が三島の「サド侯爵夫人」にヒントを与えたのは見え見えだネ。
もちろん三島の方が傑作だと思うし、三島作品の中でも戯曲は、殊に「サド侯爵夫人」は最高傑作だと改めて感じているヨ。