鳥井一平  いとうせいこう  

 先夜は是枝裕和・映画監督を特集した「クローズアップ現代」を見たまま、続く「プロフェッショナル」を見ていたらグングン引き込まれてしまった。社会的弱者を救済する活動を続けている鳥井一平という人、以前はイジメられている被害者親子を守る弁護士を取り上げていたけど(違う番組かな?)名前は忘れてしまった。共通するのは被害者のために全国を走り回って(鳥井さんは自分で運転して地球2回り分乗ったそうだ)相談に乗っている点。世界にはプーチンみたいな極悪な殺人鬼もいるけど、狭い日本でもとんでもないエライ人もいるものだ、と見せられるとこちらも救われるネ。

 鳥井さんは技能実習生はじめ日本にいる外国人の犠牲者のために日本中を走り回っているけど、日本人のアジア人に対する差別意識には亞然とさせられるネ。秀吉の朝鮮侵略の頃に始まったのか、蔑視しながら台湾・沖縄・朝鮮と次々に併合して中国や南太平洋に侵略を重ねてきた《日本の黒歴史》を忘れると、「歴史はくり返される」から用心しなくてはダメだね。

 鳥井さんが相談に乗った例として、ベトナムの青年が職場でヒドイ火傷を負いながらも会社は救急車も呼ばずに済ませていたので、青年は仲間の粗末な治療に頼りながら仕事を続けていたのがあった。鳥井さん自身が若い頃に組合運動をしていたため、ガソリンをかけられて大やけどを負って皮膚移植を受けた経験があったので、青年を病院に連れて行きながら会社を追及していたけれど、社長の意識の低さには呆れるばかりだった。

 プーチンとは異なり根っからの悪人とも思えないのだけれど、大変なヤケドを軽くみなして働かせ続けて平然としているのは、技能実習生を安価な労働力としてしか見ていない証拠だネ。それがその社長に限らぬ、日本人一般の意識とも考えると怖ろしくなる。外国人に仕事を教えてやっているという自覚が、技能実習生に対して強く出る根拠にしているそうだけど、人権意識の低さを指摘する前に社長のさもしい考え方が情けないネ。

 

 さもしさとは無縁の人として、いとうせいこうさんが爽やかさを発揮した例を知った。何かのアイデアを無償のつもりで提供しておいたら、意外にも想定外の額の礼金がもらえたので、《国境なき医師団》にカンパしたという。東日本災害の時には種々の活躍を見せたいとうさんらしい一貫性は、さもしい日本人が自己変革するためのモデルともなるネ。

 (続く)