【観る】「印象派からその先へ――」展  シスレー  カンディンスキー  ルオー

 8日の呑み部の前に、三菱一号館美術館の展覧会を観に寄ったヨ。なかなか都心へ出る機会がないので、せっかくだから美術展から選んで無難なものにしたわけだけど。ホントは上野の森美術館ゴッホ展を観たかったのだけど、ただでさえ混雑して入れない美術館なのに、日曜だから諦めたのだネ。ゴッホは趣味だけでなく、小林秀雄ゴッホの手紙」がらみでとても気になる画家なんだナ、惹かれる作品も多いし(太宰と同様で、人間には興味はないけど)。

  

 「印象派~」という表題に惹かれたのは印象派がどれも好きだからからだけど、「ぶらぶら美術館」(BS日テレ・火曜)でシスレーが6点も展示されているというのが第一だったネ。シスレーはまとまって観る機会は実に稀だから。しかし(ありがちながら)いざ行ってみるとあまりピンとこないのだナ。自己主張の強烈な画家の作品の中にシスレーが置かれると、爽やかさに打たれるのかな、それがシスレーばかり並べられると逆効果なンだろネ。

 ともあれ第1章「印象派、誕生」の、コローから始まりミレー、ブーダンシスレー、モネ、ルノワールと続く歌い文句さながらの教科書的な展示は、充実していて飽きさせない。その後にこれもシスレー的イメージのピサロも続くのは嬉しかったものの、第2章「フォーヴから抽象へ」がルオー3点から始まると圧倒されてしまう。元々好きなもののパワーはスゴイものだ。マティスは個人的に好まないけど、数点あるのでファンにはおススメできるものの、好きなヴラマンクが4点あるのに風景ではないのが主なので面白くない。でもピカイチのカンディンスキー「結びつける緑」はスゴイから、これだけでも観に行く価値がある。こんなカンディンスキーがあるとはネ! 3点あるピカソが色を失ってるヨ。

 第3章「エコール・ド・パリ」はご多分に洩れず若い頃は好きだったけど、10点近くあったシャガールには目もくれずに集合場所へ急いだヨ。それなのに道に迷って遅れてしまったことは、前に記したとおりでバカだネ。本美術館自慢の常設展であるルドン「グラン・ブーケ」は以前観たから、これもスルーしたけど未体験の人は必見。入場料1700円は高いけど、ジックリ観ればそれなりの価値は十分にある展覧会だヨ。

 付け加えれば個人的に好きなパステル画では、目玉商品になっているルノワールの珍しいパステル画「シュザンヌ・アダンの肖像」よりも、ドガ「踊り子たち(ピンクと緑)」がキレイでイイね。やっぱり得意不得意の差は歴然と出てしまうものだネ。