【状況への失言】小池百合子の欺瞞  【読む】カミュ「ペスト」・「異邦人」  小野正嗣の文芸時評

 1日に40名超のコロナ感染者が出たとたん、小池百合子が終末の外出自粛を呼びかけている。あちこちで指摘されているようだけれど、症状が出るまで2週間かかるわけだから、遅きに失した小池の動きなのは明らか。安倍晋三と同じで、オリンピックへの影響が怖いので自粛宣言を先延ばしにしたものと察せられる。目つきの悪さが人の悪さを体現している大阪の知事・市長ペアが(兵庫県知事も)いち早く自粛宣言をしたのに、小池は己れの評判が悪くなるのを怖れて先延ばしにしつつ、今になって感染者の増加を都民・国民に責任を転嫁している。あいかわらず自分のことしか考えない性格の悪さを貫いて、都民・国民に犠牲者を生み出している極悪人である点では安倍晋三と双璧だ。国民から憎まれようが、非常事態宣言などにより強い態度で人命を守らなければならないのは当然なんだけどネ。

 

 先月クラス会で呑んだ時、内田樹にコロナ騒ぎはまるでカミュの「ペスト」だネと言ったら、あそこ(都市封鎖)までは行ってないけどという返事だった。しかし今や「ペスト」を思わせる状況になってしまい、朝日の文芸時評を担当している小野正嗣さんも、冒頭で「ペスト」を紹介している(3月25日)。有益だったのは続いて、カミュも参考にしたと言われるデフォーの「ペストの記憶」を教えてくれていることだ。こちらはより詳しく物語内容を記してくれていて、強烈な印象を残す箇所がデフォーの創作だという「不思議」に言及している。しかし事実をなぞった記録よりも、作家の想像力が上回るリアリティ(迫真力)ことはしばしば起こることだ、作家でもある小野さんが「不思議」がっている場合じゃないでしょ。

 ともあれこの際カミュの「ペスト」を読もう! 長いからタイヘンだと言う人は、短くても根源的な問題を突きつけて《不条理の文学》の典型として位置付けられる「異邦人」をおススメ!