【読む】明治大学大学院宮越ゼミ  『大正文学論叢』第3号  明治大学教員のハラスメント

 毎号送っていただいてきた『大正文学論叢』最終号を落掌して驚いたのは、これが今までの号の3倍はあろうという厚さだったからだ。覗いて分かったのは宮越勉さんが定年退職を迎えることもあり、過去の院修了生にも声をかけつつ「昭和篇」の論文やエッセイも収録したせいだった。さらに驚いたのは、「編集後記」にこの研究誌が宮越さんの「パチンコ代」によって刊行されていたとあったからだ。パチンコをやらないボクには宮越さんが年にいくら負けている(勝っている)のか全く想像もつかないけれど、きょう日雑誌を出すには何十万ものカネがかかることは知っている。学大の近代文学の3つのゼミの研究史『青銅』でも、在職中けっこう赤字を補ってきた身なので、宮越さんの「親心」には共感と同情を禁じ得ないのだナ。

 さらに宮越さんとは研究者を目指していた頃から意識し合っていた仲で、お互い高校教員をしながらの研究志向だったので、宮越さんの最初の志賀直哉論が出た時はヒト事ならず嬉しい刺激を受けたものだ。志賀の作品論なら3本ほどあるボクの立場が作家離れで論じるのに対し、宮越さんは誰よりも詳しく志賀直哉の事実を追求する姿勢で論じているので、教えてもらうことがたくさんあったものだ。

 温厚な人柄の宮越さんが、明治大学でも早稲田のようなセクハラその他のハラスメントが横行しているので、憤りを発しつつも退職後それまで指導してきた院生の身を心配していたのも、学大で同じ国語科教員のハラスメントと闘ったボクとしてはヒト事ではない。女子院生の無事を祈りつつ、明大当局が昔の学大の村松泰子執行部のようにセクハラを助長するようなマネをしないように、自重と周囲からの監視を促したい。

 

 さて収録されている論文は、大正篇が志賀・谷崎・龍之介・鏡花・乱歩・実篤・犀星・有島と多岐にわたって15本近く論じられており、昭和篇では賢治・太宰・敦・健三郎・福永で7本揃っている。作家名を上げるだけでもタイヘンなので、何が論じられているかは自分でチェックしてもらいたいネ。ボクのメアドを知っている仲間の皆さんは、メールでボクに問い合わせて下さい。