【見る】100分 de 名著  カント「純粋理性批判」  安田登  ビートたけし  立川志らく  内田樹

 100分で名著の「平家物語」(再放送?)が終ったと思ったら、今度はカントだそうだから変り方に苦笑が洩れる。レパートリーが広いに越したことはないから歓迎だけど、平家の解説の安田登という人には好感が持てなかったのでホッとしているヨ。ワキ役の能楽師だそうだけど、むやみに自分を出したがる人で鬱陶しい感じだったからネ。MCが「平家物語」に無知なのをいいことにして、無茶をやり放題という印象だった。

参考にしたであろう諸説に自分なりのイロを付けながら脚色するのは許せても、漢字1つにも恣意的としか思えない解釈を加えて済ましているのだからカナワナイ。「痔」という漢字は「寺に入るまで治らぬ病」という類のイカガワシイ解釈ネ。どの解説も平家の専門家なら怒り狂うのではないかと思えるシロモノだけど、専門家だと融通が利かずに大学の講義みたいにツマラナくなるので忌避されたのかな? そもそもいちおう能楽師だからと言って、琵琶法師がこもりがちの声でスローペースで語ったものを、謡曲のノリで自分勝手な(?)節を付けてうなっていたけれど、あんな平家の語り方ってあるのかな? 声も汚いだみ声で聴くに耐えなかったネ。それでも食事中の惰性で見てしまうことが多かったのだから、自嘲するほかなかったので、カントに切り替わるそうで何よりだ。

 

 この安田登という人の押し付けがましさは、何でもできるという誤った全能感に由来するのだろうけど、調子に乗って己れを誤解して全能感を抱いてしまうと見っともないだけだネ。ビートたけしも好きな芸人だし映画監督としてもスゴイのもあると思うけど(2・3本しか見てないけど、ツマラナイのもあったナ)、小説まで書き始めた時は自分を誤解してると思ったネ。又吉直樹に対抗して書いたと言っていたけど、文章表現の能力は欠落していたのは、自分じゃ気付かないものだから仕方ないかな。落語家の志らくも情報番組のMCまで引き受けてタイヘンだろうけど、1度(そういう曜日があるのか?)モディリアーニの人物画に眸が描かれていない点について解説めいたことを洩らしていたけど、軽率すぎるネ。

 師匠の談志に対抗できるのは、見た映画の数くらいだと察しているけれど、落語は足許にも及ばないのをはじめ、すべてまだ二流(一流半?)止まりと思われるのに、むやみにうかつなコメントをしない方が愚かと思われないだろうに惜しいネ。談志は弟子に古典芸能など何でも身に付けるよう奨励していたけれど、志らくが美術まで分かったような口をきくのは調子に乗り過ぎて見っともなかったネ。談志もチョー調子に乗り過ぎて国会議員になり、沖縄担当大臣まで引き受けてしまった上に呑んで大失言したあげくにクビになったのとは、おバカにもスケールが違うけどネ。

 

 安田登という人を検索したら、関連する人として内田樹が出てきてビックリ。内田も武道家としての側面もあり(学生時代から武道に興味を示していたネ)、安田氏も身体に関心があるようなのでその点のつながりなのだろネ。内田も特にアカデミックな専門というものはなく(レヴィナスの研究者として認められているのかな?)、専門家には持てない観点から意外な切れ味の良い発言をするのがとり得なので、安田氏と話が合う点もあるのかもしれない。知的なレベルは雲泥の差だけど。

 内田とはこの間クラス会で会ったばかりなので、安田氏について直接訊けるのは1年以上待たねばならないし、わざわざ忙しい内田にメールで訊くまでもないことなので、「平家物語」が終ってカントに変わったことを歓迎しつつ、難しそうな「純粋理性批判」の解説を聴きながらメシを食おうと思っているヨ(水曜午前12時からEテレ)。

おススメできるかどうかは、番組を見てから決めるネ。