【読む】『好古趣味の歴史 江戸東京からたどる』  永井荷風・石川淳

 法政大学江戸東京研究センターから、江戸・東京の文化・芸術に関心のある人向けの研究書が出たヨ。法政大院の授業を2年間担当した縁もあって、専任の中丸宣明さんが送ってくれたのだけど、論文12本コラム4本の充実した楽しい本で、2800円というのだから安価だネ。近代文学では鷗外や荷風石川淳が取り上げられていて貴重だネ。

 荷風は大学後輩の切れ者・多田蔵人さん(大著はブログで紹介済み)や未知の合山林太郎氏が、石川淳は授業時にいろいろ世話になった関口雄士(たかし)クンが執筆していて読ませる。後者は元になった講演も聴いて刺激を受けたもので、おススメだネ。法政の2年間は院生が研究していた石川淳古山高麗雄(関口クン)をはじめ、徳田秋声安部公房三島由紀夫清岡卓行などを読んでいたので、他のことができなかったものの楽しかったネ。関口クンの石川淳修論をもらって読むのを楽しみにしていたのだけど、その後は拙著のことに追われていて果たせなかった。とはいえ最近はサボっていた時に読めなかった研究書の面白さに振り回されていて、なかなか石川淳には至り着けない。

 そう言えば最近読んでいる昭和十年代文学の研究書には、どれも石川淳が無視されているのでもの足りないネ。淳が時代から超然とし(ようと)ていたので、彼らの論には組み込めないのかな? やはり関口クンの修論や山口俊雄さんの大著を読まなくてはダメかな。