【見る】「映像の世紀」第16集「オリンピック」その2  芸術家の戦争協力の功罪

 東京オリンピックは誰しも心中では諦めているものと思っていたら、来年実現できるとホンキで期待している人もいるようで信じがたいネ。選手がそう思うのは仕方ないものの、本気なだけにカワイソーだネ。日本国内だけなら何とかなりそうな傾向ではあるものの、南米やアフリカからの参加が想定しにくい状況で、オリンピックが成立するとは考えにくいネ。ブラジルのトランプと言われているクレイジーな大統領(それにしても世界にトランプがあふれているネ、日本じゃ麻生太郎だろうけど)がコロナ防止より経済優先して感染を広めていること1つをとっても、オリンピックどころじゃないだろネ。アフリカも不安視されているけれど、実はアフリカは感染慣れしているのでかえって安全とも言われてるそうだヨ。もっともナイジェリア(だったかな?)に特化された例かもしれないので、アフリカ一般が安全とも言えない気がするネ。

 

 それはともあれ「映像の世紀」を見る限り、オリンピックが民族(国家)対立や人種差別とは切っても切れない歴史には圧倒されてしまったネ。米ソの対立のお蔭で互いの陣営でボイコット合戦した記憶は新しいものの、若い人は知らないかもしれないから補足すれば、ソ連(現ロシア)のアフガニスタン侵攻に抗議してアメリカ陣営がモスクワ・オリンピックをボイコットし、日本も素直にアメリカに従ったので柔道の山下も男泣きしたのだヨ。ロサンゼルスの時はソ連陣営が報復でボイコットしたのだから、お互い大人げないというか政治をスポーツに持ち込み過ぎたよネ。

 古くはナチ・ヒットラーがオリンピックを巧妙に利用したのは周知のことかな? ベルリン・オリンピックの壮大な映像を見たことがある人は多いと思うけど、ヒットラーは当初オリンピックには興味を示さなかったものの、国内外の政治に利用できると知ったら、一時期だけユダヤ人狩りを中断して民族の融和を図ったというのは初耳で驚いたネ。もう1つ驚いたのは、ベルリン・オリンピックの映像は傑出した映像美を生み出すリーフェンシュタールの演出なのだけど、ヒットラーの情婦だったというウワサもあった彼女が、ナチの意向に反して己の映像美創出を図ったというのも初めて知って驚いたヨ。

 分かりやすく言えば、彼女は東京オリンピックの映画を作りながらも、ダメ出しされた市川昆監督と同じ立場を貫いたということだネ。これも若い人向けに註すれば、才能ある市川監督はオリンピック全体を写しだすのではなく、個人の闘いにも焦点を当てて映画を作ったものだから、当局からスポーツの映画になってないとボツにされてしまったという経緯があったのだネ。番組を見たら、何と市川昆の先例が既にあり、それがリーフェンシュタールだったのだネ。彼女は戦後は戦争犯罪を問われたくらいナチの協力者とされたのだけれど、ナチが差別していた黒人選手の肉体美を写し出すために、何度も撮り直したのだからビックリだヨ。戦後彼女は「NUBA」という題だったかで、黒人男性の裸体美の写真集を出したのだから一貫しているわけだけどネ。

 もちろん黒人に限らず、個人に焦点を当てて試合のみならず練習風景も映像に取り入れたのは、市川昆に先んじていたのだネ。番組を見る限りだけど、芸術家の行動を簡単に戦争協力だと決めつけるのは危ないと感じたヨ。水曜日の「英雄たちの選択」では作曲家の古関裕而を取り上げ、彼の軍歌作曲の是非を含めて議論していたけど、戦争協力を指弾する人はいなかったようだネ。高村光太郎は戦争詩を書いたことを自ら批判・反省して遠野の田舎に引き籠ってしまい、火野葦平は戦後20年経ってから自死したのだけど、吉屋信子林芙美子の戦争中の言動が議論されているとおり、問題が広がり過ぎるから機会を改めて取り上げるつもり。

 オリンピックから話題が逸れたし、字数も多くなったのでいったん切るネ。