【読む】『近代文学資料研究』3

 【読む】コーナーばかり続いて申し訳ない感じながら、もう1つだけ。だいぶ前に送っていただきながら、紹介できないままの研究誌があるのでネ。頂戴したものはブログで紹介することにしているわけだし(佐藤公一のクズ本は別にして)。

 『近代文学資料研究』という同人研究誌は知られていないだろうけど、今時同人で好きな研究成果を発表する姿勢がイイね。でも10名超の同人で知っている名は庄司達也さんだけなのは、ボクが学会から遠ざかっている証拠でもあってチョッと淋しいかな。

 その庄司さんはお得意の龍之介についてではなく、室尾犀星の書簡についてのエッセイのようなものを載せている(未読)。犀星も龍之介とは「田畑文士村」で交流があった相手だから、庄司さんの関心の対象にもなっているのかな。個人的には野呂芳信という人の「萩原朔太郎と小出の林について」という論の方に興味があるので、いずれ読みたいネ。というのも、ボクも朔太郎と同じ前橋出身の身なので、高校時代から親しんでいる朔太郎は早くから全集を備えて稀に授業でも取り上げてきたのだけど、朔太郎については優れた研究者が5人以上揃っているので、自分で研究しようと思ったことはないネ。しかし余裕ができたら全集を読破しようという意欲は失っていないので、井伏鱒二ともども我が「晩年」の読書の楽しみにとってあるのだネ。

 「小出」というのは「郷土望景詩」の中の1編に「小出新道」とある地名で、名前は懐かしいもののボクの知る小出新道は、朔太郎の歌った面影は薄れているのではないかと思う。「新前橋駅」も同様で、上越線に連絡する駅として作られたので、小学生のボクが新潟にスキーに行った頃は、あまり利用客がいなかった感じだったネ。今では住宅地も広がり全く別の駅になってしまったけれど、便所の戸が(上州の)空っ風でドタンバタンと音をたてたイメージは、朔太郎の詩の風景と重なっている気がするネ。

 何だか久しぶりに朔太郎の詩集を読みたくなってしまったけれど、今はそんな余裕がないのでこの辺で。