【観る】劇団チョコレートケーキ  古川健  「あの記憶の記録」・「熱狂」

 終ってから記すのも申し訳ないのだけれど、情報を得たのが直前だったのであらかじめ伝えられなかったのだナ。NHKBSプレミアム日曜夜11時20分からの(昔は12時からだった)「プレミアム・ステージ」で、7月5日は「あの記憶の記録」を再放送したのだネ。同じ劇団・作家の「熱狂」の方は記憶に残っているのだけど、「あの記憶~」の方は忘れていたネ、両方とも録画してあるけど。

 去年「熱狂」を録画した時はワクワクしたネ、なにせヒットラーとその部下たち数人の葛藤を造型してスゴイ迫力があったからネ。ブログにも書いた気がするのだけど、三島由紀夫「わが友ヒットラー」はせいぜい3人の葛藤であるのが、「熱狂」はその倍くらいの男たちが正面からぶつかり合うのでインパクトがあったネ。「あの記憶~」の方は、平和な戦後の生活を送っている2人のユダヤ人兄弟それぞれの隠された苦悩が、しだいに明るみに出てくる迫力がスゴイ!

 兄弟はアウシュビッツ収容所で、ユダヤ人の死体からそれぞれ髪の毛と金歯を集める係り(ショアと言ったかな?)を引き受けることで死を免れていた。両人ともその記憶から逃れることができず、毎夜うなされていることを妻は知っている。弟の方は子供たちとその教員が、イスラエルの対外的強硬姿勢を許容することにガマンできずに露骨に批判する。長男の方が殊に入隊して闘う決意を固めているのに対して、「逃げても生き続けろ」と言うものの息子には通じない。

 ショアの研究を続けている息子たちの教員の要望に応じて、父(弟)は家族(兄夫婦も含む)の前で収容所内の出来事を明かすことになる。あまりの苦痛のため数回に分けて語ることになるのだが、息子の反発に対する父の発言がボクには説得力があり感動させられたネ。ストーリーを話してもこの感動は伝わらないだろうけど、この作品と劇団や作家は記憶しておいてもらいたいネ。本が出ていれば読んでもらいたいネ、読んでも感動は伝わると思うのでネ。ぜひ観たいという人のために、ハードディスクからDVに落としたいとは思っているヨ。