【観る・聴く】棟方志功  柳宗悦  柳兼子

 「観る」コーナーが続いて関心のない人には申し訳ないけど、これはぜひ見て興味を持ってもらいたいネ。名前だけは知ってるだろうけど、あまりジックリ見ることがなかっただけじゃないのかな? この番組を見れば、きっと魅入られるかも。そのくらい迫力満点の人物と作品だヨ。NHKEテレ日曜の夜8時からの「日曜美術館」の再放送の方ネ、朝9時からは次回の内容だから間違わないでネ。棟方が彫る姿を見れば、皆さんきっと衝撃を受けると思う。燃える命そのものがうごめいている姿だから。生まれながらの芸術家とはこういうのかな。もちろん作品もスゴイけど。

 ボクは学部生の頃から棟方が大好きで、展覧会にも1度ならず行っていると思う。自家のオープンデッキ(放送局にある録音機)には、ホコリ除けに棟方の作品「門世の柵」が印刷された風呂敷がかけられているのだけれど、これも展覧会の時にゲットしたものと記憶している。ふくよかな女性の半身像が彫られ、着色されている(晩年の棟方は着色するようになった)。

 何よりの傑作は「釈迦十大弟子」で、昭和30年代初頭にサンパウロとベニスの2つのビエンナーレでブランプリを獲得しているほどで、世界の驚きが分かるというもの。

番組で知って驚いたのは、棟方を発見した民芸の柳宗悦(やなぎむねよし)が、そこまで棟方の創作に関わっていたのかということ。柳の助言で油絵から彫刻に転じたことは知られているけれど、「釈迦十大弟子」をはじめことあるごとに柳の感想・助言によって彫り直しをしていた、ということは初めて知って驚いたネ。この子弟の結び付きを見るだけでも、番組を見る価値があるヨ。

 柳と言えば朝鮮の焼き物をはじめとする民芸品を発掘し(て価値を高め)たスゴイ人だけど、番組を見る前にちょうど朝鮮文化を日本の権力から守ろうという主張を読んだばかりだったので、愛も骨もある立派な文化人・教育者だと感銘を受けたネ。柳が白樺派だということは知っている人もいるだろうけど、志賀直哉とは殊のほか親しく「和解」にも匿名で語られていて、夫人の兼子さんも出てくるヨ。柳兼子は80歳過ぎてもソプラノ歌手としての実力を発揮していて、ボクも小金井前原町に住んでいた学部生時代(昭和44年)レコードを持っていて、まさにその声で歩きながら歌っているお婆さんとスレ違い、後で兼子さんじゃないかと思いついて驚いたこともあったネ。信時潔などの日本歌曲のレコードは、今でも聴けるスバラシイ歌声と歌唱力に圧倒されるヨ。