【読む】松本和也さんの著書

 松本和也(かつや)さんの著書はくり返し推奨・紹介してきたけれど、贈っていただきながら忘れていた書を自家で見つけ、己がボケぶりに呆れるばかりだヨ。近著『太平洋戦争開戦後の文学場』(2020年5月)を贈っていただき、ボクも学生時代から関心を持ち続けていた時代の文学を、極めて広い視野とこまめな作業の積み重ねによって高い達成度に感銘を受けたことは記したとおり。本書を通して前著『日中戦争開戦後の文学場』を知ったので、いつもながらユウ君にアマゾンでゲットしてもらったのも記したとおり。後の書の井伏論に作家個人・作品自体の面白さと再会した思いで、戦争下の状況を細かく説く他の論調とは異なる面白さに惹かれ、久々に井伏作品を読む楽しさに浸ったことも記した。

 昨日見つけた本は正にこれだったのだから呆れるではないか! なぜ手許にないと勘違いしたかというと、本書は2018年3月に刊行されており、ボクが「生涯最後の本」をまとめていた時期に重なっていたのだネ。書を開いてみたら「はじめに」だけはキチンと読んでいたものの、井伏論は最初の5ページくらいしか読んだ形跡がないのだネ。井伏との再会に導いてくれた論はジックリ読んでなかったために、印象が残らなかったための勘違いだった次第。直接ご迷惑をおかけしたわけではないながらも(1冊売り上げを増やした?)、松本さんには大変申し訳ないことだった。最初にいただいた方もムダにならないように、必ず読みそうな仲間に読んでもらおう。