【言葉・見る】古市憲寿が「英雄たちの選択」に登場?!  佐々木道誉  「寺島実郎の世界を知る力」  東浩紀と梅原猛

 まずは「言葉」から。

 ずいぶん前からネタ切れで悲鳴が聞こえてきそうだけど、朝日新聞連載の鷲田清一「折々のことば」に久しぶりに響いてきたものが選ばれていた(11月11日)。

 《いったい私は深い思索には、広い体験が不可欠であることを信じている。》

 九鬼周造「書斎漫筆」からの引用だそうだけど、岩波文庫にもなっている『「いき」の構造』ほど著名なものではないので、初耳の書名(?)だった。『「いき」の構造』は読んでおくべき本だと思うけど、「書斎漫筆」の言葉の重さが分かるには時間が必要かもネ。若い批評家が世に出やすい時代のようだけど、おおむね観念的過ぎて「思索」が地についてないので「画餅」の虚しさと感じることが多い。古市憲寿や三浦瑠麗などがその典型だろうが(と言うと三浦から「一緒にするナ!」と抗議されそうだけど)、その古市が「英雄たちの選択」に出てきたのでビックリしたヨ。

 来週の水曜午前8時からの再放送を見てもらえば、噓でも冗談でもないことが分かってもらえるだろう。そこまで卑屈に人気モノを呼んで視聴率を上げようとすることないだろう、と磯田道史さん(でなければ番組プロデューサー)に失望してしまった。まるで「ぶらぶら美術館」で性懲りもなく低能発言ばかりの小木博明を使っているようなものだ。ただ脳科学という分野から意想外の発言をする、中野信子さんのような稀少な立ち位置を確保していない古市がたまたまゲストに迎えられたのは、テーマが佐々木道誉だったからだろう。裏切りを旨として・バサラ者として名を残している道誉なら、古市でも発言の余地があったのだろう。

 「だろう」としか言えないのは、以前道誉を主人公にした小説を読むほど興味のある武士ながらも、始めの方だけは聴いていながら眠り込んでしまったのだネ(昼寝が不十分だったのかな)。でも古市が道誉をパリピーだと言ったのはハッキリ覚えている、聞きなれない言葉だったしそれがパーティー・ピープルの意だと説明されてチョッと分かった気になれたのは記憶している。理解不十分ながら道誉は今のパリピーだと言った古市の趣旨は、何となく伝わった気になれた。古市その人のように、軽率で目立ちたがる存在というイメージなら、そういう捉え方もあり得るだろうから。ともあれ再放送はシッカリ見なくては!

 

 今朝、東京MXで最近始まったらしい寺島実郎の番組を、偶然ながら途中から見ることができた。「寺島実郎の世界を知る力」という名前で11時からだけど、実に広くて奥行きのある「知」を披露してくれているので驚いたネ。朝8時からのTBS「サンデーモーニング」でよく見かける人だけど、その際の説得力のある発言を裏付けるような知識と考察が、この新番組ではふんだんに披露されていたので感心するばかり。アメリカでも中国でもない第三の道、納得だネ。

 古市や三浦がフジテレビの「ワイドナショー」には出られても、「サンデーモーニング」には呼ばれない理由がハッキリ分かるというもの(他にも具眼の士が揃っているし)。それでも荻上チキは若いながらも、出演して論議に加わっていたことがあったナ、スゴイねともあれ、寺島さんの新番組、毎週欠かさず見たいネ、おススメ!

 

 以前テレビ番組で、東浩紀梅原猛若い人たちと読んだり・皆で梅原の話を聴きに行ったりしているのを見たけれど、若者の教祖のような東浩紀も梅原の「広い体験」に裏付けられた「深い思想」が身に沁みて分かる年齢になったと理解すればいいのかな?