【読む】兵藤裕己『物語の近代』  ラフカディオ・ハーン  ゴッホ  アントナン・アルトー

 兵藤さんの本、時々読み続けています。今日は「ラフカディオ・ハーンと近代の『自我』」という論を読んで驚いたネ。ハーンの『心』(平井呈一訳)という文集(小説・随筆・論文)から「門つけ」や「前世の観念」という作品を引用しながら、兵藤さんは絶妙にハーンのスピリチュアルなものに関心を抱く在り方を論じている。驚いたのはこの『心』という岩波文庫をだいぶ前に古書店でゲットしてあったからだし、ハーンの「耳なし芳一の話」をよんだアルトーが、それをリメイクして「哀れな楽師の驚異の冒険」を書き、(そこまでは驚くに値しないけど)その後アルトーが『ヴァン・ゴッホ』を書いて自らの狂気とゴッホのそれを重ねていたという、その本をボクが持っていたという偶然だネ。ボクは小林秀雄の「ゴッホの手紙」がらみでアルトーの本をゲットしてあったのだけど、経路は異なりながらもハーンとアルトーという2人の本が重なったというのも珍しいことだヨ。共に未読だったので、兵藤さんの刺激が消えないうちに読んでみたいと思っているヨ。

 それにしても、兵藤さんは想定以上の優れ者だネ。