【状況への失言】中西進はやはり凡庸  品田悦一さんの批判は広く読まれるべき  チンケな猪瀬直樹は「ゲスのかんぐり」ばかり

 朝日新聞「文化・文芸」欄の「語る――人生の贈りもの」連載の中西進がやっと終ってくれた。単調で退屈なのによくも20回(? 未確認)も続けたものだ。朝日の見識を疑うネ、元々こと「文芸」に関しては朝日は〈進歩的〉な分だけ遅れているけどネ(次ぎは伊東四郎なので期待できるヨ)。〈進歩的〉なだけに担当記者は中西にツッコミを入れてるけど、中西はトボケているのか本当にボケているのか、質問をかわしているのが印象的だ(第19回)。

ーー【質問】(令和の)考案者はきっと戦争の時代を経験していますね。

ーー【中西】 どうでしょう。(中略)私は国書が初めて典拠になったことを喜ばしく思いますが、その元号はアジアの豊さで開かれた文化の中で生まれたのだ、ということは忘れずにいたいですね。(以下、同主旨のをくり返すだけ)

 

 ボケているとすれば話にならないけど、トボケているなら何度も紹介してきた品田悦一さんの批判を無視しているのは明らかだ。品田さんは中西の言う「国書」などという意識は、大伴家持でさえ持たなかったはずだと書いており、これ以上の詳細はくり返さないけど『万葉ポピュリズムを斬る』(講談社、令和2年)には「令和」が記された万葉集の当該箇所の背景は、藤原氏独裁による粛清事件などキナ臭い状況が論証されている。中西が強調する「平和」とは正反対の時代状況だったのに、(知らなかったのならただのバカだし)それを無視してノンキに一場面だけに注目して言葉だけを抜き出して「令和」などと命名したボケぶり。

 ともあれ1800円で痛快な読書ができるから、品田本は必ずゲットして読むべきだネ。もう少し学問的な「万葉集」受容に対する根本的批判を読みたければ、初版時に注目・評価された『万葉集の発明 新装版』(新曜社、2019年)を読むことだネ。

 

@ BSNHKプレミアム「アナザー・ストーリー」の太宰治特集の再放送を見ながらブログを記した。以前放送された時に詳しく感想を書いたけど、作家・松本侑子が心中した山崎富栄の立場で「正解」を表明していたのが印象的だった。それと対比するまでもなく猪瀬直樹のインチキぶりは吐き気を催すほど低レベルで、怒りを感じるだけだった。チンケな存在ながら慎太郎の後を襲って都知事になったものの、5000万円のワイロを小型なカバンに入れようと下手な手品をやり損ね、テレビを通して全国民の失笑を買ったのも記憶に新しい。

 猪瀬は太宰だけでなく三島由紀夫についてもインチキ本を出していて、太宰本と同様に自分の狭い視野から「ゲスのかんぐり」ばかり並べたるだけだから、無価値な本を買うと損するばかりだから要注意! そもそも全くの専門外なのに、なぜ文学者について書きたがるのかまったく理解できない。太宰や三島なら売れると考えただけだろネ。その魂胆からしてゲスそのものだ。