【聴く・見る】ハナレグミ(脱力歌手)の「カヴァーズ」  戦中、満州の感染症

 ハナレグミという男性歌手を知っているだろうか? 朝ドラのテーマ・ソングなどで知られている秦基博のイメージに近い歌手で、全然押しつけがましさの無いところが気に入っている(おススメだヨ)。今日のBSプレミアムの「 Covers 」では前回の秦に続いてハナレグミが特集されているのだけれど、録画予約しておいて違う番組を見ることにした。

 

 BS1スペシャル「満州 難民感染都市」という2時間番組を見始めているのだけれど、昭和20年に旧満州に取り残された居留民150万人が、ソ連軍に殺され・犯され・盗まれたただけでなく、発疹チフスやペストやコレラという感染症で多数の死者が出たという。ソ連軍の暴力・強姦を防ぐために、若い女性が犠牲となったことは新聞記事で読んだことがあるけど(「特攻隊」と呼ばれたとは初めて知った)。安部公房が医者だった父を手伝いながら、防疫を手伝ったという逸話も紹介されている(詳細は木村陽子さんの2冊目の公房論に期待したいネ)。

 ソ連軍の殺人・強奪・強姦(と戦後の捕虜強制労働)には聞くたびに腹が立つばかりだけど、落ち着いて考えてみれば日本軍も「三光作戦」と称して殺・奪・焼の暴挙をくり返したことをやったのだから、ソ連軍ばかりを責めていてもラチが開かない。ソ連兵もスターリン社会主義)にイジメ抜かれていたのだろうから、日本人に方向違いの暴力を振るったのも仕方ない面もあるかも(しかし国内でイジメられていたわけでもない日本兵の、中国人に対する「三光作戦」は民族蔑視に基づいていたのかも。大正デモクラシーの頃には中国(人)に対する敬意が共有されていたそうだけど)。

 少なからぬ中国人が、日本の居留民に多量の物資の供与をしてくれたという話だけは気持良かったネ。孫文が日本に亡命していた頃から、日本人が協力し続けた事実が伝わっていたからだという。中国革命に身を捧げた日本人の「大陸浪人」も忘れられないし。それにしても中国人からすれば、勝手に自国に侵入して土地を奪って支配者ヅラをしていた日本人であるにもかかわらず、よくぞ親切に救助してくれたものだ。

 習近平政権が戦前の日本帝国主義をなぞるように、他国に侵入し続けているのは許し難いものの、戦前の日本と同じく国内の反習政権の勢力が弾圧されているようなので、尖閣列島辺りがキナ臭い状況になっているのが心配だネ。

 

 ともあれ、この番組が再放送されたら必見だヨ。

 木村陽子さんの名前は、番組最後のテロップ(?)の最初に記されていたネ。