昔の著名な訳書に比べると段違いに読みやすいので、望月哲男の翻訳が出るたびに紹介してきたけど、その№5が出たヨ(全6巻)。それにしてもスゴイ速さで訳して刊行されるものだから、こちらが読むのがついていけない。読みやすいからといって、「戦争と平和」ばかり読んでいられる状況ではなく、ゼミの準備の読書や今までに贈られた書・論文を読むのに(楽しく)手間取っているためだネ。
カヴァーの要約によると、ナポレオン軍がモスクワにまで侵略して暴徒化し、モスクワは大火で焼かれてしまう。ロシア人としては異例にもナポレオンを支持していた主人公・ピエールは責任を感じてナポレオン暗殺を企てる。友人のアンドレイは闘いで重傷を負い、偶然出遭えたナターシャに看病されるが・・・
などと読まされると、映画で知った物語の展開を読書でより深い感動を得たいとワクワクしてくるネ。むやみと長い小説だから、最初から読もうなどと色気を出すと挫折しがちだから(何でもそうだけど)、劇的展開を見せるこの№5から読み始めてもダイジョブ。「戦争と平和」が読み終わっても、望月訳のもう1つの長篇「アンナ・カレーニナ」や短めの「クロイツェル・ソナタ」(元になったベートーベンの曲についてはブログに記したばかり)などもあるし、以前紹介したプーシキン「スペードのクイーン」などもある。ちくま学芸文庫のバフチン「ドストエフスキーの詩学」の名訳を含めて、望月哲男の翻訳を読む楽しみを知らぬまま死ぬ手は無いヨ。