【観る】イサム・ノグチ展  野口米次郎(ヨネ・ノグチ) 「日本美術史の近代とその外部」  稲賀繁美  青山昌文

 イサム・ノグチ展というのも珍しいという感じだけど、いま上野の東京都美術館で催されている(8月29日まで)。イサム・ノグチと言ってもピンとこない人でも、中に電球を入れる「あかり」という名の球体の提灯みたいのは見たことがあるだろう。紙や木(竹)細工はイサム本来のものではないようだけど、今回の展示は主に石の作品らしい。ネットで検索して興味が湧いたら観に行くことをおススメします。(朝日新聞6月17日には紹介されている。)

 文学研究している人なら、イサムは知らなくても父のヨネ・ノグチ(野口米次郎)は知っておいて欲しいネ。日本の詩史では無視されがちだけど、それなりに重要な詩人でありナショナリストのようだ。亀井俊介ナショナリズムの文学』を読んでいたら、野口の先祖は若き日の織田信長のために諌死(かんし・いさめるための自殺)した平手政秀だと書いてあったので驚いたネ(信長係りの家老としてワガママ放題な信長に反省を促した人だけど、前回の大河ドラマでは無視されたかな)。

 それはともかく、ノグチ父子を知るには絶好の番組があり、見るにはちょうど良いチャンスだヨ。放送大学で一番充実している講義、稲賀繁美さんの「日本美術史の近代とその外部」は毎回充実していて楽しいけど、その第12回がノグチ父子を取りあげていてヨネ・ノグチで博士論文を書いた人がゲストで登場する。放送大専任の青山昌文の美術史はブッキッシュで薄っぺらな内容だけど、稲賀さんの講義は独創的で広く深いのでとても教えられる。その稲賀さんがノグチの専門家と語り合うのだから、見逃せないネ(将来また再放送するとは思うけど)。

 この番組は土曜午後3時45分からと、月曜午後1時半からの2回放送するから観るなり録画するなりするとスゴク賢くなるヨ。