【読む】映画誌『フィルムメーカーズ』22 勅使河原宏特集  友田義行・編集

 映画は嫌いじゃないけど、あまり見ない。特にハリウッドの(?)恐怖映画や日本のゾンビ映画に至っては100%興味が無い(漫才の品川までゾンビ映画を作っていると聞くとなおさらだネ)。映画通の蓮實重彦さんが絶賛していたので(テレビで)見た「スパイの妻」も、それほど感心しなかったナ。さかのぼれば黒澤明「乱」などはすごく感動したのを忘れない(「生きる」や反原爆もの、晩年のシベリアを舞台にしたものはダメだと思ったけど)。

 安部公房の「砂の女」は小説もイイけど映画も素晴らしいと思ったし、映画「他人の顔」(こちらは印象が薄れているけど)も面白ったという印象がある。監督が勅使河原宏だということも知っていたけど、映画にも勅使河原宏にも興味は無いナ。もちろん公房の小説には関心があるけれど、未読の長編も多いので心残りのままの状態。所属していた大学では論文指導する人がいなかった木村陽子さんの公房論は、最初から毎回読ませてもらっていた(手を入れる必要ないほどデキていた)けど、本(笠間書院)になったら2刷りするほど売れたのは驚いたネ。退職後に法政大院へ非常勤に行った時には、関内クンが公房研究をしていたので改めて安部公房を読む気になったものだ。

 公房との付き合いは中途半端なままのところに、友田義行さんが責任編集した『フィルムメーカーズ』の勅使河原宏特集を贈ってくれた。口絵写真を見たら、けっこう楽しめた映画「利休」も勅使河原作品だと知り、さすがは草月流の宗家の映画作品だと納得したネ。目次を見たら「アントニー・ガウディー」という映画も撮っているそうだけど、チョッと観たい気にもなったネ。ボクがサグラダファミリアを観たのは25年以上前だから、現在の建築は完成間近のように様変わりしているけど、勅使河原が撮ったのはどの段階なのだろう?

 ともあれ目次を眺めながらどれを読もうかと迷ったけど、結局巻頭の友田論文「映画をいける前衛芸術家」を読んでいるところ。無知なボクにはハナから刺激的な知識を突きつけてくるので、この論文を選んで正解だと思った。皆さんもこの雑誌(宮帯出版、2700円+税)を買って読めば、正解だと思うこと間違いない。

 勅使河原宏より安部公房の方が興味深いナ、と思う人は2012年に友田さんが出した『戦後前衛映画と文学 安部公房 × 勅使河原宏』(人文書院、4600円+税)の方をおススメだネ。ボクもこの大著に改めてチャレンジしたいと思っているヨ。