【状況への失言】「映像の世紀」 オリンピック  リーフェンシュタール(映像監督)  政治と芸術・スポーツ

 NHKBSの「映像の世紀」は素晴らしい記録映像シリーズで、かなりの本数を録画してある(「映像の性器」の方がイイと言う人もいるかもしれないけど)。館山のハッチャン家では全巻録画してあるそうだけど(20巻近いかな?)、ダンナの山口さんのが社会科の先生ゆえの関心からだろう。

 ともあれ目の前でアホなオリンピック騒ぎが展開されているので、今回は見ずに済まそうとしたものの、放送大など他の見るべき番組がないので見始めたらけっこう面白かった。むしろ感動感激した場面もあったほどだったヨ。もちろん全体の流れはロス開催の頃からカネに汚(けが)されて行く末路まで、まるでNHKが現在の日本の政権(小池百合子も含む)や、国際オリンピック委員会を批判しているのではないかと本気で思ったヨ。

 

 ベルリン・オリンピックを映像化した「オリンピア」は有名だろうけど、監督がリーフェンシュタールという女性だということは知らない人の方が多いかもしれない。ナチスの党大会の見事な映像も撮ったので、戦後は追及され(続け)たのも当然だと思っていたけど、「映像の世紀」によると「オリンピア」を撮影していた時は、ナチスが喜ばない有色人種(黒人)を多く撮影したのでナチスから削除要求されたにもかかわらず、ナチスの要求には断固として応じなかったとのこと。ヒットラーに気に入られていたせいもあって(愛人とも誤解されたとか)、ネガティヴな評価をされがちだけど「オリンピア」という映像作品が何よりも芸術を追求したのは確かだと思えたネ。

 東京オリンピックの映画を市川昆が撮ったら、当時の政治屋たちが《芸術的》すぎると否定して別に記録映画を編集したと記憶する。市川昆作品はボクもむかし観たけど、確かに《芸術的》と言われても仕方ない撮り方ながらも、今日の「オリンピア」の映像を見たらリーフェンシュタールのマネをしたと言えるくらい似ていたナ。両者ともに記録よりも選手個人の活躍、それも本番のレールなどよりも練習する姿にも焦点を当てて撮っている。

 リーフェンシュタールは70年代だったか、「NUBA」とかいう未開地の黒人男性の群像を被写体にした写真集も出したけど、《芸術》の追求という点で彼女は一貫していたようだ。ナチスの党大会の映像だけではなく、「オリンピア」の監督であることを忘れてはいけないのだネ。「映像の世紀」ではこの「政治と芸術」の問題から、「政治とスポーツ」の問題を歴史的にたどっていくのだけど、長くなったから改めてネ。