【読む】幻の名著『よくわかる小林秀雄  メイゲン(名言・明言・迷言)集』  佐藤秀明『三島由紀夫の言葉 人間の性』

 今さら小林秀雄について新らしい見解など出せないし、小林については既に『小林秀雄への私的試み  〈関係〉の飢えをめぐって』(洋々社)で言いたいことは言い尽くしている(この本は発売後3ケ月後くらいに黒字になったそうだヨ)。小林について残しておきたい本はあくまでも啓蒙的なもので、誤解・愚見を正しながら小林秀雄の(この「の」は双方向的)理解の仕方を書いておきたいのだネ。名言集といっても、シュウメイ(佐藤秀明)が出した『三島由紀夫の言葉 人間の性(さが)』(新潮新書)のように三島の言葉を羅列しただけのものなら、出す気は無いのだナ。この本だって引用されている三島の言葉をシュウメイがどう読んでいるのかを知りたいのに、それがゼロでは読む気になれないネ。せっかく三島テクストの《読み》ではトップクラスのシュウメイが集めた名言なのにネ。もちろんそれでイイという人もいるだろうから、シュウメイの書によって三島作品に入って行ってもらえばこの本を読む価値もあるだろうけどネ。  税別で720円(2015年刊行時)だから安いでしょ、おススメだヨ!

 

 『よくわかる小林秀雄』は小林の様々なメイゲン(3種類)を拾い出して、その理解の仕方・読み方を解説するのだネ。もちろん小林秀雄の全体像を、小林の核心と共に伝えながらネ。バカ売れするのではなく、息の長い本として存在しながら、小林秀雄に対する誤読を正し続けてもらえればネ。