Eテレの「こころの時代」(土曜午後1~2時)は「宗教・人生」をテーマとした番組で、時々見たり・録画したりしている。去年だったか、『旧約聖書』の「コヘレトの言葉」(手許の聖書では「伝道の書」)を専門家の小友聡さんと、クリスチャンの批評家・若松英輔さんとの対談で解説していたのを聴いてビックリしたものだ。それまで聖書から聞いたことのなかった響きが、動揺を覚えるほど強烈に伝わってきたからだ。とても聖書とは思えぬ、まさに仏教の無常観を聞いている印象だったヨ。「百聞は一見にしかず」だから数ヶ所を引用する。「空」はもちろん「くう」である。
《コヘレトは言う。
空の空
空の空、一切は空である。
太陽の下、なされるあらゆる労苦は
人に何の益をもたらすのか。
一代が過ぎ、また一代が興る。
(中略)
私は太陽の下で行われるあらゆる業(わざ)をみたが、やはり、すべては空であり、
風を追うようなことであった。》(「1」より)
《 何ということか。
私は人生をいとう。太陽の下で行われる業は私にとって実につらい。すべては空で
あり、風を追うようなことだ。》(「2」より)
(聖書協会共同訳)
先日番組を見たら、最後にテキストがあることを知った。『それでも生きる』(NHK出版、920円+税)という表題の冊子で、引用はこの冊子からのもの。
無常観を感じたのは、あるいは仏教以後の宗教は皆仏教の影響下にあると聞いたことがあるけど、キリスト教も先行する仏教の影響下に成立したせいかな。イエスが荒野で絶食して修行したと聖書にもあるのも、やはり仏教の影じゃないかと思ったこともあるヨ。聖書はフツーに読んでいても面白いけど、「コヘレトの言葉」(「伝道の書」)は一段と興味深いヨ。一読をススメます!(テキスト2段組みで15ページくらいだから長くはないヨ。)
@ ちなみにテレビ番組(全6回)で前回見たのは第2回だから、このまま続くのかもしれない。