【状況への失言】戦争犯罪人・プーチンのウクライナ侵略(9)  世界トップレベルの指揮者のロシア支持?  フルトヴェングラー(VS)ゲルギエフ

 プーチンの狂乱のお蔭で音楽の話題を記す余裕が無かったので、他のウクライナ関係のネタより優先して音楽関連記事を書くネ。とはいえ明るい話題ではなく気の重い問題だけどネ。早くは朝日新聞の3月2日に小さな記事ながら、「プーチン氏を肯定 指揮者ゲルギエフ氏解雇」という見出しでゲルギエフが首席指揮者を務めるミュンヘン・フィルから解雇されてと報じていた。ゲルギエフプーチンと親しいので、「明確に、無条件に距離を置くように」要請したものの、従わなかったためという。オリンピック・パラリンピックに際してスポーツと政治との関わりが問題になったけれど、芸術と政治との関係も歴史でくり返された問題ではある。

 朝日新聞は11日にも紙面の半分を使って「指揮者・ゲルギエフ氏 国外の職を続々降板」という見出しで、ウィーン・フィルミラノ・スカラ座との公演からも降ろされたと報道している。所属事務所の社長が2月末に、「戦争を起こした独裁政権に、直接的にも間接的にも利することを知りながら、拒絶の意を示さない芸術家にプロ(のマネジメント)としてこれ以上奉仕することはできない」との声明を出して解雇したとのこと。ゲルギエフはロシアのマリンスキー劇場を再興して、従来のロシアを代表するセントペテルブルグ(旧レニングラード)・フィルなどよりも世界で認められる管弦楽団に育て上げた功績は歴史的にも稀少だ。世界を代表する有名なソプラノ歌手・ネトレプコもマリンスキー劇場育ちだヨ。

 

 政治と音楽家との関係で著名なのは、ヒットラーの時代にベルリン・フィルを指揮し続けたフルトヴェングラーだろネ。ナチズムやファシズムに反対したトスカニーニワルターユダヤ人)という大指揮者の2人が、もう1人の大指揮者であるフルトヴェングラーを戦後断罪したのも納得できる。しかしフルトヴェングラーユダヤ人の楽団員を守ろうとしたことなどが判明したので、名ヴァイオリニストのメニューヒン達がフルトヴェングラーを擁護したことも忘れるべきではない。フルトヴェングラーヒットラーを認めたとも思えないけれど、ゲルギエフの場合はプーチンを本気で支持しているようにも見える。

 だからこそゲルギエフがロシア以外の職を解かれたのも当然だと言う人もいるだろうし、あくまでも芸術と政治は切り離して考えるべきだと言う人もいることだろう。まさにオリンピックとウクライナ侵略との関連という問題と重なっているネ。しかし一般論はともかくとして、ゲルギエフの場合は指揮者が大量殺人を支持していると知りながらも、楽団員が一緒に演奏しようとは思えないから解雇するというのもやむを得ないだろネ。

 

@ この話題は1回で終わらせようと思ったものの、まだ長くなりそうなのでいったん切ります。