【読む】プロットの意味が逆転  疋田雅昭『文学理論入門』(ひつじ書房)

 1月中旬にしばらくのあいだ問題となったことで、結果を皆さんに報告しようと思いつつも遅れて今ごろになってしまったものの、大事なことなので簡略ながら記しとどめておくヨ。「プロット(とストーリー)」の意味の把握がヒッキ―先生とボクが正反対だったので指摘したところ、収拾がつかなくなってしまったのでフランス文学研究者のユキオちゃん(西村友樹雄さん)に判断を仰いだら、想像を超えてメンドクサイ問題なのだと判ったヨ。その際に西村さんが各種の資料を送ってくれたものもあるから、詳細を知りたい人にはそれらを送るので請求しておくれ。

 

 刊行されてすぐに紹介した解りやすく・優れた理論書であるヒッキ―先生の書、勧めた甲斐あって期待以上に買ったという反響が続いていたのだけれど、自分でも目を通していたら「違うゾ!」という箇所が見つかってあせったヨ。すぐにヒッキ―先生に連絡したら「違ってない!」と強く言われたので、調べてみたら「プロット(とストーリー)」の意味が変化していた(?)ことが判明して驚いたネ。すぐにブログで皆さんに伝えようと思っていたら、プーチンウクライナを侵略し始めたので「プロット」どころの騒ぎじゃなくなってしまったのだネ。

 買った人も・これから買う人も、ヒッキ―本の174ページの把握に注意してもらいたい。

 《プロット(書かれたままの形)→読書行為→ストーリー(頭の中での再構築)》

 これを見てすぐにプロットとストーリーの意味付けが逆だと思ったのだけど、そう考えるのはボク(以上)の世代だけとは思わなかったネ。ボク(等)には三島由紀夫「小説とは何か」(やフォスター「小説とは何か」)に定義が身に付いていたからネ。

 《ストーリーとプロットの差について、E・M・フォースタアが、すこぶる簡潔な定義を挙げてゐるが、フォースタアによれば、ストーリーとは「王妃が病んで死んだ。一ケ月後に王が死んだ。」という事実の列挙であり、プロットとは、「王妃が死んだので、悲しみのあまり、一ケ月後に王が死んだ」といふ、複数の事実の必然的連結だといふのである。》

 これがヒッキ―先生の定義と正反対なのは理解してもらえば、ボクがあせったのも伝わると思う。半世紀の間ずっと思い込んでいたプロットとストーリーの定義が真逆だったとは! ユキオ先生(いつもながら丁寧に教えてくれたから「先生」だネ)がいろいろ調べてくれたので知識は増えたものの、実は未だにスッキリしないのだナ。でも授業で何度かフォスターの定義で2つの概念を伝えたのは間違いないので、それを覚えている人がいたら今では意味が逆転していてヒッキ―本の定義が現在の理解である、と「訂正」しておいてもらいたい。

 1月当初は詳しく説明する気だったけど、今はこのメンドクサイ問題を再考する気力がないので資料を送る程度ならできるとお伝えするばかり。