【聴く】「 around Stage 」(その2)  ミュンフン  ヤノフスキ  シューベルト「ザ・グレイト」  上岡敏之

 ブラームスと言えば、以前コロナ禍の合間を縫ってミョンフンが来日して聴衆以前にオケ(東京フィルハーモニー?)を感動させている番組を見たことをブログに記したことがある。ミュンフンはまぎれもなく一流の指揮者だと思うけど、今回は東フィルを振ってフランス音楽尽くしのプログラムを取りあげ、《細部のニュアンスに至る容赦ないリハーサルの跡がうかがえる》と記者に感銘を与えている。ブラームスの時にもリハーサルをくり返していたことが想起されるけど、文学テクストと同様で音楽も《細部》が大事だとはイチロー語録にも重なるネ。ミュンフンはフランスでもバスチーユのオケの常任指揮者だったこともあったと思うけど(東洋人であるためにクビにしたオケは心底アホだったネ)、何を振らしても素晴らしい成果を出す人だヨ。

 今月末の土曜深夜だったかのプレミアム・ステージ(11時20分~)でヤノフスキとN響の演奏が放映されるそうだけど、新聞記事ではシューベルト交響曲第9番「ザ・グレイト」の演奏を《宇宙の営みをすら想起させる音圧の豊かな幅には言葉を失った》と大絶賛している。これが放送されることを切望するのは、この曲こそシューベルト管弦楽曲の集大成だと思うからだし、大好きな曲だからだネ。大昔カール・ベームウィーン・フィルを率いて来日した時もこの曲の名演を残したのをオープン・テープに録音したあるし、レヴァインウィーン・フィルとの組み合わせも録画してある。個人的にはインマゼールの演奏(オケは不明)にとびきり感動したことがるネ。

 

 もう1人記事から取り上げておきたい指揮者は、上岡敏之だ。ほとんど無視していた人だったけど、ある日ベートーベンの交響曲「田園」を演奏しているのを聴いていたら、ものすごく魅力的だったので慌てて録画したことがあったヨ。メディアの一部が騒いているけど、聴いて(見て)みたら大したことないということも少なくないけど(記事で取り上げられている鈴木秀美がその例だネ)、上岡は確かな実力を具えた指揮者だと思うヨ。記事が井上道義を取りあげているのは賛成だけどネ。

 《ラザレフの来日がロシアによるウクライナ侵攻の影響でかなわなかったのは、残念という以上に痛恨だ。》と吉田純子さんが記しているとおり、プーチンが音楽文化に悪影響を与えているのは極めて残念だし嘆かわしいかぎり! ラザレフについては詳しくないけど、去年緊急事態宣言直前に来日して日本フィルを振り、ストラビンスキーの「ペトルーシュカ」でコロナ状況の暗雲を払ったという。ロシアの音楽家のみならず、ロシア音楽自体までも忌避する狭量な音楽ファンもいると聞く、プーチン並みのクソだネ。