【状況への失言】ゼレンスキーは信頼できる!  篠田英明  ノーテンキな橋下徹の無知暴露

 朝日新聞の記者が書く記事の書き方が劣化したと思われるとはいえ、社外から寄せられる記事はおおむね評価できるものが多い。「耕論」と題して3人が同じテーマで意見を書く場合は、当然3本とも卓論というわけにはいかない。4月15日の「戦うべきか、否か」というテーマでは、篠田英明さんという国際政治学者(東京外国語大学)の意見だけは切り抜いて保存してあった。それだけ傑出した考え方であり・実に説得力を持っているので、国際政治には無知というほかない橋下徹のノーテンキな「人命第一だから逃げる」という発想を根底から批判し尽くしている。無恥な石原慎太郎と同じく、何でも口を挟みたがる橋下は調子に乗り過ぎたということだ。

 ゼレンスキーが東条英機とは正反対の信頼すべき指導者だということが、意を尽くして展開されている。彼が活発に各国の議会で支援を呼びかけているのは知られているけど、イギリス議会ではシェークスピアの国ということで「生きるべきか、死ぬべきか」を引用して、《問いは13日間続いたが、今は明白な答えが出せる。イエス、生きるべきだ》と力強く訴えたとのこと。ゼレンスキーの判断を、国際政治学者の多くが妥当と考えているそうだ。ロシアが占領したブチャなどの地域で多数の市民が虐殺されている以上、降伏した場合の犠牲者が戦った場合の犠牲者より少ないはずがないと言う。

 プーチンが情報を制限して国民を無知な状態にしながらも支持率が低下するばかりで、反対する人々が600万人も国外に「逃げ」たとの報道には驚かされたけれど、ゼレンスキー大統領の方針は国民の9割が支持しているそうだ。以下は篠田さんの意見を記者がまとめたとおりを引用する。

 《ひとつ言えるのは、目の前の危機をやり過ごすためなら、秩序も原則も無視していいという態度は危険だということです。脅しに屈してルールをまげてしまうと、将来に禍根を残すからです。リスクや犠牲を覚悟しても、原則を守ることには、何物にも代えがたい利益があるのです。》