【聴く】チェリビダッケ  デュトワ  沖澤のどか

 【観る】方ばかりじゃ【聴く】方のファンの仲間に済まないので。

 チェリビダッケについては依然ブログにも記した記憶があるけど、20世紀を代表する指揮者の1人だろネ。ベルリン・フィルの常任指揮者をカラヤンと争ったという話も聞いたことがあるけど、そのカラヤンとは正反対で録音を残すのが嫌いだったから、聴く機会が限定されているため一般には名前が知られていないのだネ。むかし限られた生演奏を体験した音楽評論家でボクが信頼する人・金子建志さんが、ラジオ番組でチェリビダッケとシュツットゥガルト放送響の来日演奏(部分的に録音してある)のプロコフィエフロミオとジュリエット組曲の解説で、「今までこの曲はムラビンスキ―とレングラード・フィルの演奏が最高だと思っていたけど、チェリのはそれを超えていると思う。」とハッキリ言っていたのを忘れない。

 ラジオで聴いていたボクもぶったまげた感動ぶりだったけど、ロシア音楽だからロシア最高の組み合わせの演奏を超えるものは無いと思うのがフツーだけど、チェリのはそれ以上だと専門家までが言うのだからスゴイ演奏だったのだネ。ボクも感じたけど特にフィナーレの盛り上がり方はハンパじゃなかったのは金子さんの保証付きだったネ。

 

 朝日新聞8月18日の夕刊の「クラシック音楽」の欄には、最近そのチェリビダッケのCDが次ぎ次ぎと出されているとのこと。相棒だったミュンヘン・フィルとのコンビによるブルックナーの第8番やシベリウスの第5番がハイレベルのライブ演奏だったらしい。壮年期の4年間にロンドン響とのコンビによる全7回の演奏会もアルバムとして出たそうだ。ブルックナーなど大音量のステレオ装置で聴いてみたいものだネ(自家にはDVDで録画したのがあるけど、ステレオでは聴けないのが残念!)

 

 朝日新聞の日にちがハッキリ分からないのだけど(新聞の切り抜きにメモるのを忘れた)、「 around Stage 」の記事で「セイジ・オザワ松本フェスティバル」の演奏会の活躍が報じられていた。特に2人の指揮者、数代前のN響常任指揮者でN響にフランス音楽の演奏の仕方を伝えたというデュトワと、新進女性指揮者・沖澤のどかに焦点を当てて紹介している。

 ストラビンスキー「春の祭典」はブレーズ指揮クリーブランド・フィルの演奏(ボクはレコードを持っているけどCDも発売されているはず)が歴史的に際立ったという評価ながら、デュトワサイトウ・キネン・オーケストラ斎藤秀雄等が育てた日本のハイレベルの演奏家を中心にしたオケ)は、《こんなにエレガントで恐ろしい「春祭」がかつてあっただろうか。》と絶賛されている。

 沖澤のどかはつい先日テレビで特集番組をやっていたけど、演奏だけは録画してある。ベルリン・フィルの附属オケ(?)であるカラヤン・アカデミーを振ったモーツァルト交響曲第36番「リンツ」はスバラシイ演奏だったネ。強弱と遅速の対照が明確だからものスゴク歯切れが良くて、聴いていて快感の連続。指揮コンクールの優勝者だというものの、そう簡単に名演奏などできまいと期待せずに聴いていたけど裏切られたネ。

 「リンツ」はDVDながらも大好きなクライバー指揮ウィーン・フィルで録画されているので不安ながら聴き直したら、キレの良さでは沖澤の演奏の方がはるかに優っていたヨ。もちろんクライバーのものは昔の演奏で録画も古いので単純に比べるわけにはいかないものの、クライバーの録画が新しいものであったとしても沖澤の方が感動できる気がしたネ。松本フェルでは「フィガロの結婚」を振ったそうだけど、《常に先に目をこらし、音楽を心地よく浮遊させ続ける。曲の終わりでふっと速度をあげ、次の場面へと導く自然さに、天性のセンスを見る。》と評されているのだから、「リンツ」の演奏のレベルの高さも自然だったのだネ。