【読む】中川成美さんの疋田本書評  『日本近代文学』第107集

 『日本近代文学』の最新号が届いたので目次を見たら、中川成美さんがヒッキ―先生(疋田雅昭)筆の『トランス・モダン・リテラチャー』(ひつじ書房)に対する書評が載っていた。論文があふれるほど並んでいたけど、ほぼ全部興味がなかったせいもあったのか、一番目立っていたヨ。早速読んだらメチャクチャ面白い! この大著で論じられている作品ほぼ全部未読なので、「序」と「結」以外は論文も読んでないのに中川さんの解説が実に分かりやすくて「ナルホド!」の連続だ。「トランス」もそういうことだったのか、と驚きつつ理解できたネ。

 論じられているのが最近の芥川賞作品ばかりなのでボクが未読なのは当然ながら、中川さんは逆に現代文学中心に研究しているので疋田本の理解が行き届いているのも当然だネ。その上、中川さんはテクストを細部まで読み込むのではなく、理論を中心に追求するタイプなので、この大著を理論から詳細に分析するには最適な人だったわけだ。こんなに面白く納得できた中川さんの文章は初めてかも。

 

 というところで具体的な紹介になるところだけど、実は書評が載っている機関誌が自家で行方不明のまま数日が経っていて内容に触れることができない。

 でもヒッキ―先生は自著解説の代わりに、中川さんの書評をコピーして買ってくれた学生・卒業生に配布すべきだと思う。買った人はヒッキ―先生にそれを請求して大著を読むための参考にするとイイよ。

 それにしても身の回りにあるはずの物が突然姿を消したままになるので、ボケの進行を嘆くばかりだネ。