【聴く】石井先生の最終講義(4)  石井正己はモーツァルトか?

 タップリ2時間超の講義では、時折挑発的な断言が挟まれていたので誤解したムキもいたようだった。ボクは謙虚さの無い連中は大嫌いで、安倍麻生をはじめ片山さつき・マツコ・古市憲寿羽田圭介(作家)・百田尚樹・宮根アナ・アンミカ・田島陽子・三輪明宏・高橋秀樹と真麻父子・ヨネスケ三遊亭好楽佐々木蔵之介・細川きよし・堀内孝雄前田敦子千住明・・・各界から思い付くのを並べたけどキリがないネ。

 石井さんの講義にはその謙虚さに欠けるとも聞こえかねない断言があったので、冷静さと十分な理解力が無いと誤解するのもやむを得ないだろネ。例えば授業を自分の研究と切り離して啓蒙的な内容だけを話すことを拒否し、あくまでも研究と切り離さずに自分の勉強にもなるモノを取り上げたつもりだ、という断言は伝わりにくかったと思う。  ボクの学生時代は教員の業績内容や研究中のモノを一緒に読まされたものだけど、時には非常に迷惑を覚えたものだ。その手の教員が圧倒的に多数だと思うけど、石井さんの言うのはそれとは違うのだネ。

 自己の過去の研究を切り売りするのを己に禁じつつ、自分でも新鮮さを感じるモノを選んで講義したということだ(と思う)。敢えて安易な道を選ばずに、自分に厳しく処したということだネ。近代文学専攻の学生が石井研究室から出されている研究誌に論文を発表したのも、そういう石井さんの教育の成果だと受け止めているヨ。個人的には演習で自分の守備範囲の作家に限定せず、卒論などで学生が取り上げた作家からテキストを選ぶようにしていたけれど、未知の作家は避けるなどで冒険を避けていたナ。とても石井さんのマネなどできなかったネ。

 

 講演会も1000回以上やったというのは心底ビックリしたけど、出版した本の数も信じがたいものだ。話し慣れたり書き慣れたりしているので3日もあれば1冊書けると豪語したのも驚きだけど、書き方がシステム化されていれば十分ありうることだと思うネ。流行作家が1日何十枚も書くという話も聞いたことあるだろうし、あのモーツァルトの文字通りの天才的な作曲のありようもご存じのとおりだ。例えば後期の三大交響曲をごく短期間に作曲したというのも有名な逸話だネ。モーツァルトを引き合いに出すと嫌がるファンもいるだろうけど、石井さんの書きぶりはそのくらいスゴイということだヨ。酒やオンナに限らず「量より質」を強調するボクでも、石井さんの業績は「量も質も」と感心しているヨ。

 石井さんといえば「遠野物語」で関連する本は軽く10冊を超えているだろうけど、ボクが愛読しているのは河出書房新社の「ふくろうの本」シリーズの『古事記』や『源氏物語』だネ。「図説」シリーズと言えるものだけど、「源氏」本なのに河添房江ではなく石井正己なのは「江戸絵本でたどる」というとおり、著名な絵巻を見ながらあらすじを読むことができるのだから助かる。「古事記」の方はあの篠山紀信の撮った写真や種々の絵本を見ながらあらすじを読めるという楽しさ。これ等も石井さん自身が書いたと言っているのだから信頼して読めるヨ、2000円もしないのだからおススメだヨ!

 

 また字数オーヴァーとなった感じだけど、まだ書き足りないので後で捕捉的に書くヨ。